2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J13670
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 健 早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 神経科学 / 意思決定 / 前頭前皮質 / 神経活動 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
意思決定者が複数の選択肢のうち一つを選択する際、状況を認識し、記憶や知識を参照し、行動の価値やコストを考慮し、代替案を評価して最終的な目的指向行動を行う。前頭前皮質では、外部環境の知覚が駆動するボトムアップ情報と記憶の参照、脳内の経験・知識によって駆動されるトップダウン情報が複雑に絡み合い、統合されると考えられている。意思決定の神経機構を探究することで、様々な精神疾患の治療や意識の神経機構に関して新たな知見を得ることが期待できる。ヒトを含む霊長類の研究によって、価値やルールに基づく意思決定に前頭皮質が重要な働きをもつことが示されている。特に、前頭前皮質は重要なハブ領域として、皮質と皮質下領域間の神経伝達を促進し、様々な認知機能において重要な役割を果たしている。 本研究課題では、マウスが意思決定を行う行動課題や前頭前皮質の神経活動解析と光遺伝学的手法を用いて、意識レベルでの意思決定の背景にある神経情報処理を理解する。2022年度は、まずタッチスクリーン装置を用いて、独自開発した意思決定を調べることができる行動課題を行った。その後in vivoカルシウムイメージングでマウスの内側前頭前皮質(mPFC)や一次体性感覚皮質において、1匹あたり細胞百個程度の神経活動を高い時間分解能で記録した。神経活動解析では、意思決定時に一貫した活動変化を示す細胞を抜き出し、活動動態を調べた。その結果、マウスのmPFCには、意思決定時に一貫した活動を示す細胞が多数存在し、活動のタイミングや活動の増減において、特徴的な活動特性をもつ細胞が多数存在することが明らかになった。また、神経活動解析と並行して、光遺伝学的手法について条件検討を行い、本研究に適したコンストラクトの候補を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経活動解析を進めていく中で、内側前頭前皮質の神経細胞には、活動パターンに複数の特徴が見られることが明らかになった。光遺伝学的手法を用いた実験は引き続き進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究に基づき、引き続き意思決定の行動表出と神経活動について検証する。
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