2022 Fiscal Year Annual Research Report
Preparation of metal nanowires with sub-nm diameter transferred from the surface structure of layered silicate
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22J13718
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
彌富 昌 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 金属ナノワイヤー / 層状ケイ酸塩 / シリル化 / SiH基 / 鋳型合成法 |
Outline of Annual Research Achievements |
直径がnmオーダーの1次元の金属ナノ構造体である金属ナノワイヤー(MNW)は、直径を小さくすることで特異な性質を示すことが予想されている。しかし、従来法ではMNWを直径サブnmで精密制御しつつ単離することは不可能である。本研究では、層状ケイ酸塩というSiO4四面体からなる2次元の結晶性ナノシートが積層した物質の表面に存在するサブnmスケールの溝に着目し、層が閉じた状態で金属を析出させ、その後層を開くことでMNWを取り出すという新規鋳型合成法の開発を目指している。 本年度は層表面にサブnmスケールの溝と還元能を持つ層状ケイ酸塩誘導体を作製し、金属導入に向けた層間のアクセス性の調査を行った。層表面に溝状の結晶構造を有する層状ケイ酸塩の一種である層状オクトシリケートをトリクロロシランでシリル化し、還元性官能基であるSiH基を層表面に導入した。この時、層間にSiH基を導入すると同時にクロロシリル基が形成するため、空気中の水分で加水分解によりシラノール基が形成し、縮合しにより層間が閉じてしまう。従来層間縮合を防ぐ場合は、ジメチルスルホキシドやアミド分子などの非プロトン性極性分子を層間に導入することで積層制御が成されるが、本系では層間を保持可能な非プロトン性極性分子がSiH基と反応することが確認された。そこでシリル化後、クロロシリル基にアルコール類を反応させることでアルコキシシリル基化する手法を検討した。この手法により、積層間隔や層間の親疎水性を制御できることを確認した。そのため、親水性官能基を持つアルコール類による積層制御により、還元性の官能基を有する親水的な層間空間の設計に成功しており、金属種導入の検討が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
層状オクトシリケートをトリクロロシランでシリル化後、アミドで積層制御するという当初の計画とは異なるが、アルコール処理により積層制御を達成した。この手法により鋳型の合成には成功しているため、金属種の導入にも着手できている。さらに、トリクロロシラン以外にも様々なシリル化剤を検討しており、シリル化剤の違いによる表面構造の精密設計に成功しており、当初の計画に加えて新たな現象も見出している。以上のように本年度の研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作製した層状ケイ酸塩誘導体を鋳型として、層間の溝表面での金属析出を行う。金属種の種類や溶媒などを変更し、MNW作製に向けた条件検討を行う。さらに層間の膨潤により作製したMNWを取り出すという概念の実証を行う。取り出したMNWは触媒性能試験などにより物性を評価する。
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