2023 Fiscal Year Research-status Report
計時に対して変動をもたらす要因と機構の実験的解明:連合学習との接続を目指して
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22KJ2950
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
胡 テイ 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 計時 / ラット / 予測誤差 / 価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物は時間の経過を感じ取り、事象の持続時間を推定できるため、時間という抽象的な次元が学習に与える影響を理解することが重要である。本研究は行動を制御する刺激の時間特性と他の物理特性の関係性を明らかにすることを目的とした。 本年度は主に以下の2つの実験に従事した。1)去年度の継続として、時間弁別刺激の刺激性制御の獲得に注目を当て、時間表象と価値表象が独立に処理されているかを再検証した。2)複合刺激における「刺激選択」(古典的学習場面)あるいは「選択的刺激性制御」(オペラント型学習場面)の一連の研究から明らかにされてきた学習法則が、同様に「時間」といった抽象的な刺激次元にも適用できるかを調べた。 1)本研究は刺激性制御の程度を影響する要因として、先行訓練及び相対的な刺激の明瞭度の2つの要因を操作し、反応率が抑制されている状態で時間が学習されていても表出しない可能性を指摘した。去年度の計時行動の内的過程の検証実験から得られた結論を指示し、価値表象と時間表象の乖離を示した。この点においては、学習・行動・計時研究全体に有用な知見を提供した。 2)古典条件づけの研究から、ある刺激の連合可能性はその刺激が持つ予報価によって規定される。これに基づき、重要な学習理論が構築された。しかし、それらの理論は報酬の出現・不出現、つまり報酬予測誤差に重点を置いて発展されたものであり、時間次元に関する理解は不足している。本研究は、報酬の出現率を同程度に予告するが、報酬の出現時間に不確実性が高い刺激が「注意」を引き、予測誤差が大きくなることでより効果的に学習されたことを示唆した。時間の特性が動物の学習に与える影響を明確にした点は本研究の意義である。今後の研究において、時間特性を含む複合的な刺激次元が行動制御にどのように寄与するかをさらに探求するための基盤となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、目標としていたデータの収集と分析を無事に完了し、行動実験は当初の計画通りの成果を得ることができた。これらの成果は、今後の研究におけるさらなる発展の基盤となる重要な知見を提供している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)得られた成果については、国内外の学会にて発表し、論文を執筆して国際学術誌に投稿する予定である。 2)今後は新たな行動実験と並行し、当初の計画した計時行動の神経基盤の検証実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当初は2023年度になるべく早く十分な行動実験のデータを蓄積し、次の年度でその行動データをもとに神経基盤の検証を行う予定でした。そして、2024年度は2023年度で得られた新たな成果を国際学会で発表し、専門家から意見をもらって論文を投稿することを計画していた。しかし、円安のため、国際学会(ICP2024)へ参加する旅費と論文投稿費が高くなることが予想されていた。そのゆえ、「次年度使用額(B-A)」が生じた。その助成金は主に国際学会への参加、論文の投稿、実験動物の購入、損傷実験に必要な手術器具・薬品及び神経科学研究のためのマイクロシリンジの購入に使用する予定です。
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