2023 Fiscal Year Research-status Report
イヌはどのようにヒト集団へ入ったのか:内分泌変化に基づく新奇物への反応から
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22KJ2969
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
篠田 公美 麻布大学, 獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 家畜化 / イヌ / オオカミ / 探索 / 新奇恐怖 / 機能的等価性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の目標は、家畜化過程で他種集団に馴染むことのできたイヌが、新奇な刺激群についてどのように学習するか調べる研究2について、予備データを取得することであった。 具体的には、恣意的な刺激カテゴリ内で機能的等価性が成立するかどうか、日本古代犬種と西洋近代犬種で比較するため、その検証方法である認知課題が遂行できるよう実験方法を確立することが目標であった。前年度では、当該課題において、イヌが反応する際のコストが大きいことが問題となっていた。したがって、液晶画面に映った視覚刺激に触れた際反応として自動記録し、その位置で即時強化できるような装置を考案および製作した。この装置を用い、西洋近代犬種での実験を実施したものの、正常に反応が記録されないという技術的問題が判明した。また、反応記録や食餌呈示などを効率化したとしても、イヌにとって視覚刺激を用いた当該課題はかなりの訓練数を要することが判明したため、課題の方法自体に抜本的な改善が必要であることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな装置を考案および製作し、適切な実験系確立に向けて研究を進めることができた。また、本実験を始める前に対象動物にとって不適当な感覚モダリティを洗い出し、方法の改善に向けた方策を立案できた。したがって、本研究計画は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2では、機能的等価性の成立について検証する方法として、恣意的見本合わせ課題を実施する。具体的には、イヌ科動物にとって弁別が容易な匂い刺激を用いた方法を検討している。実験方法が確立した暁には、日本古代犬種および西洋近代犬種を用いた実験を開始する。また、本年度は渡米によるオオカミの行動実験を予定しており、イヌの家畜化でどのような行動形質が選択されてきたのか調べる研究1とあわせて、3群のデータを比較したいと考えている。
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