2022 Fiscal Year Annual Research Report
「子はかすがい」仮説:ベニガオザルのアカンボウが寛容的社会で担う役割の解明
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22J01638
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
豊田 有 中部大学, 創発学術院, 特別研究員(CPD) (30838165)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2027-03-31
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Keywords | 霊長類学 / 社会生態学 / ベニガオザル / 繁殖生態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度前半は特別研究員CPD採択課題「「子はかすがい」仮説:ベニガオザルのアカンボウが寛容的社会で担う役割の解明」に関連し、海外で実施する認知実験に関する機材の選定、手法の検討をおこなったほか、ホルモン分析に必要な機材を調達した。その他、書籍の執筆活動等をおこなった。 後半の10月から12月、および1月から3月まではタイ王国の自身の調査地であるカオタオモー保護区にて海外調査を実施した。コロナ禍で調査が2年半中断していたこともあり、調査前半は個体識別の再整理や調査基地の環境整備を中心におこない、後半はCPD長期滞在に向けた必要機材の購入や個体群動態、赤ん坊の出産記録、行動データ取得などを実施した。 研究業績としては、査読付き国際誌への論文受理1件のほか、書籍の出版1件(白黒つけないベニガオザルーやられたらやり返すサルの「平和」の秘訣. 京都大学学術出版会(2023年1月))、2022年度 日本霊長類学会 高島賞(第31回学術奨励賞)の受賞、国内学会における招待講演(高島賞受賞者記念講演「私とベニガオザル研究-これまでとこれから」第38回日本霊長類学会大会 2022年9月19日)ほか1件の学会発表である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度日本霊長類学会の開催時期が例年より2ヶ月遅かったことに伴い海外調査開始時期が当初の予定より遅くなったこと、また、調査地での環境再整備や調査対象種の個体識別等のやり直しなどに時間を要していることなどの課題があるが、コロナ禍による2年半の調査中断からの復帰としては当然の課題であると言える。調査国であるタイ王国のコロナ関連の渡航規制も緩和が進み、長期滞在に向けた調査地の環境整備や、現地受入研究機関での実験実施に向けた諸手続きは完了しており、研究自体は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度からは主要渡航期間になり、タイ王国での野外調査に専念する。研究内容であるアカンボウの出産記録、成長過程の毛色の変化の写真記録の蓄積を精力的に進めるほか、糞などの試料のサンプリングを実施し、ホルモン解析の準備をすすめる。また、屋外認知実験について、当初は視線計測機材を用いた実験を想定していたが、屋外環境での実施は難しいことがわかった。この点については、手法を一部変更し、タッチパネル付きの機材(APEX TOUCHという動物園飼育動物に特化した認知実験デバイス)の情報を得、実際に使用状況の視察を経て本研究に応用可能であることが確認できた。今後はこの機材の調達やタイ国内への輸入準備を始める予定である。
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Research Products
(5 results)