2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22J23607
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
祝迫 佑紀 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス / KSHV / ターミナーゼ / カプシド |
Outline of Annual Research Achievements |
KSHVターミナーゼ複合体は3種類のKSHVタンパクORF7・ORF29・ORF67.5で構成されると推測されているが、これらの機能は全く不明であった。2022年度は、KSHVタンパクORF7の機能解析を実施した。ORF7を欠損したKSHVを作製し、これの感染モデル細胞を用いて、ORF7のウイルス学的特徴づけを行った。その結果、ORF7欠損KSHVは感染性ウイルスを産生できず、感染細胞内には粒子状構造物を複数含む形態の未成熟カプシドが多数観察された。この未成熟カプシドは未だ定義されていない新たな形態のカプシドであり、これを”Soccer ball-like capsid”と名付けた。また、ORF7欠損KSHVはウイルスゲノム前駆体からのウイルスゲノムの切断能を欠如していた。さらに、ORF7の持つジンクフィンガーモチーフ(Zf)のORF7機能における重要性についても検討した。ORF7欠損によって生じたウイルス産生量の減少は、野生型ORF7の補充によって復帰させることが可能であったが、Zf変異型ORF7では、これを復帰させることができなかった。続いて、Zf変異型ORF7保持KSHVを作製し、これのウイルス学的特徴づけを行った。その結果、Zf変異型ORF7保持KSHVは感染性ウイルス産生を行うことができず、また、適切なウイルスゲノム切断能を保持していなかった。以上のことから、ORF7はKSHVターミナーゼ機能に必要であり、特にORF7の持つZfが重要であることを明らかにした。これらの研究成果は、米国微生物学会の機関誌 Journal of Virologyにて発表を行った(Iwaisako Y et al., J Virol, 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は前年度、KSHV ORF7がKSHVターミナーゼ機能に対して重要であることを明らかにすることができた(Iwaisako Y et al., J Virol, 2022)。また共著者として、テグメントタンパクであるKSHV ORF21が、感染細胞でのMEKのリン酸化を亢進することで、新規感染を促進することを報告した(Yamaguchi T, Watanabe T, Iwaisako Y et al., Int J Mol Sci, 2023)。そして、申請者が来年度に実施予定であるKSHV ORF29及びORF67.5の機能解析に必要な、これらORFの欠損KSHVの作製にも既に成功した。以上のことから、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本申請研究の計画通り、KSHVターミナーゼ複合体構成要素のORF7・ORF29・ORF67.5のうち、残りのORF29とORF67.5の機能解析を実施する。先述のとおり、既にORF29及びORF67.5欠損KSHVの作製には成功した。これらの各ORF欠損KSHV保持細胞を作製し、ウイルス産生量や、形成されるカプシドの形態、またウイルスゲノム切断能を評価する。さらに、これらORFの一部分を欠損もしくはアラニン置換した変異体発現プラスミドを構築する。これを用いて、各ORFの重要領域を決定していく予定である。
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