2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22KJ2988
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
祝迫 佑紀 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス / KSHV / ターミナーゼ / カプシド |
Outline of Annual Research Achievements |
KSHVターミナーゼ複合体は3種類のKSHVタンパク質ORF7・ORF29・ORF67.5で構成されるが、これらORFの持つ機能は未だ不明であった。2023年度は、ORF67.5の機能を検討した。ORF67.5欠損KSHVを作製し、ORF67.5欠損KSHV感染細胞を用いて機能解析を実施した。その結果、ORF67.5欠損KSHVは感染性ウイルス産生能を欠いていた。また、ORF67.5欠損KSHV感染細胞内において成熟カプシドは観察されず、未成熟カプシドであるSoccer ball-like capsidが観察された。また、ORF67.5欠損KSHVはTerminal repeat (TR)切断能を失っていた。以上より、ORF67.5はKSHVターミナーゼ機能に重要であることが明らかになった。さらに、ORF67.5の機能に重要なアミノ酸領域を検討した。KSHV ORF67.5には、他のヒトヘルペスウイルスホモログ間でアミノ酸配列の保存性が高い領域(保存領域)と、保存性が低い領域(非保存領域)がある。それら領域の一部をそれぞれアラニン置換した、計13種類のORF67.5変異体発現プラスミドを作製し、各アミノ酸領域のORF67.5機能への寄与を検討した。その結果、保存領域はウイルス産生に重要であり、またORF67.5とORF7との相互作用に必要であることが明らかになった。これらの結果はAlphaFold2にて構築したKSHVターミナーゼ複合体構造モデルによっても支持された。以上の研究成果を、米国微生物学会の旗艦誌 Journal of Virologyにて発表した(Iwaisako Y et al., J Virol, 2023.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は前年度、KSHV ORF67.5がKSHVターミナーゼ機能に対して重要であることや、その機能に重要なアミノ酸領域を明らかにすることができた(Iwaisako Y et al., J Virol, 2023)。また、申請者が来年度に実施予定であるKSHV ORF29の機能解析に必要なORF29欠損KSHVの作製にも既に成功している。以上のことから、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、KSHVターミナーゼ複合体構成要素のORF7・ORF29・ORF67.5のうち、残りのORF29の機能解析を実施する。先述のとおり、既にORF29欠損KSHVの作製には成功した。ORF29欠損KSHV感染細胞を作製し、ウイルス産生量や感染性ウイルス産生量を測定する。また、透過型電子顕微鏡による形成カプシドの形態観察や、TR切断能を検討する。さらに、ORF29の一部分を欠損させた、ORF29部分欠損体発現プラスミドを作製し、これを用いてORF29の機能に対する重要領域を決定していく。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要な抗体作製費用の請求が次年度となるため、次年度使用額が生じた。翌年度は作製した抗体を用いて、既に計画している研究を遂行する。
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