2021 Fiscal Year Annual Research Report
筋力トレーニングでハムストリングスの力発揮能力と柔軟性の双方を改善する新たな試み
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21J20128
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川間 羅聖 同志社大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 筋力エクササイズ / 筋スティフネス / ハムストリングス |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツ傷害である肉離れは,筋の力発揮能力や柔軟性が低いことで発生する.実践現場では力発揮能力と柔軟性それぞれの向上を目的として,トレーニングやストレッチングが広く採用されている.しかし,長年にわたりトレーニングは柔軟性を,ストレッチングは力発揮能力を低下させることが肉離れ予防の観点から課題となっている.近年,トレーニングの内容によっては双方の要因が向上することが示唆されているが,その最適なプログラムについては十分に検討されていない.そこで,本研究では肉離れが好発するハムストリングスを対象に,力発揮能力と柔軟性の双方を向上させるトレーニングプログラムを考案することを目的とする.研究1では,筋の柔軟性が急性的に最も向上するプログラムを決定し,研究2では,決定したプログラムが筋の力発揮能力と柔軟性へ及ぼす慢性的な効果を検討する. 今年度は,筋力エクササイズが筋の柔軟性に及ぼす急性的な影響を明らかにするために,研究1として2つの実験を実施した.実験1では,対象者に収縮様式と動作範囲の異なる3つの組み合わせでエクササイズを実施させ,その前後で超音波せん断波エラストグラフィを用いてハムストリングス各筋の剛性率を定量した.その結果,伸張性収縮と広い動作範囲の組み合わせにおいて,半膜様筋でのみ剛性率が急性的に減少した.実験2では,対象者に筋長と動作時間が異なる3つの組み合わせでエクササイズを実施させ,その前後での筋剛性率の変化を検討した.その結果,長い筋長と長い動作時間の組み合わせでは,半膜様筋のみで剛性率が急性的に減少し,その変化量は実験1よりも大きかった.以上より,筋力エクササイズによって筋スティフネスを急性的に減少させるには,伸張性収縮・長い筋長・長い動作時間の組み合わせが重要であることが示唆された.これらの知見は,筋剛性の慢性的変化を考える際の基礎的な知見となることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,力発揮能力と柔軟性の双方を向上させるトレーニングプログラムを考案することを目的として,筋力エクササイズが筋の柔軟性に及ぼす短期的(研究1)・慢性的影響(研究2)を明らかにする.本年度は、すでに筋の柔軟性測定の再現性の検討および急性的変化の検討を終えており,当初の計画以上に順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究1の実験1&2を通して,ハムストリングスの特定の筋でのスティフネスは,長い筋長と長い動作時間の組み合わせを伴う筋力エクササイズで大きく減少することが明らかとなった.今後は,研究1を通じて選定したプログラムを用いて,筋力エクササイズが筋の力発揮能力および柔軟性へ及ぼす慢性的影響を検討する.
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