2023 Fiscal Year Research-status Report
学習効率の高い実験手法を用いた時間間隔の長さの長期記憶形成の神経メカニズムの解明
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22KJ3003
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
西岡 優彦 同志社大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 背側線条体 / コリン介在性ニューロン / 時間間隔の長さの記憶 / インターバルタイミング |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットは,ある出来事が生じてから次の出来事が生じるまでの秒から分単位の時間間隔の長さを記憶できる。この記憶を長期記憶へと移行させる固定化には背側線条体内のM1受容体が必要であることが示唆されてきた(Nishioka et al., 2022)。一昨年度は,この受容体に入力を送る背側線条体内コリン介在性ニューロン損傷が時間間隔の長さの記憶獲得を損なう研究結果が得られた。昨年度は,この損傷による記憶獲得の損失が永続的であるか,また,損傷が時間知覚のスピードに影響を与えうるかについて検討した。その結果,損傷による記憶獲得の損失は永続的ではなく,時間知覚のスピードも変化しないことが示唆された。これらの研究結果から,背側線条体内コリン介在性ニューロン損傷は,正確には時間の長さの記憶獲得を遅らせるということが明らかになった。この研究に関する論文はEuropean journal of Neuroscienceで出版された。 上述の研究に加えて,時間知覚のモデル上における背側線条体内コリン介在性ニューロンの役割を検討した。背側線条体内コリン介在性ニューロンの役割をモデル上でいくつか仮定し,シミュレーションをしたところ,背側線条体内コリン介在性ニューロンは時間間隔の長さの記憶を獲得し始めるまでの訓練数に関わるモデルが最も実験データに当てはまった。このことから,コリン介在性ニューロンの損傷は時間間隔の長さの記憶獲得を始めるタイミングを遅らせた可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間間隔の長さの記憶形成における背側線条体コリン介在性ニューロンの役割を掘り下げることができた。また予期せぬ点として,シミュレーションを用いたデータ分析の試みにより,より具体的な仮説を得ることができた。
一方実施予定であった,光遺伝学的手法を用いた実験に関しては,計画より実施が遅れている。これについては,今年度中には実施できる見込みである。
これらを踏まえて,予定より進捗が遅れている箇所もあるが,それに代わる成果を得られたため,進捗は概ね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では,遺伝子組換え動物と光遺伝学を用いて,背側線条体内コリン介在性ニューロンを時間依存的に抑制し,時間間隔の長さの記憶獲得に与える影響を検討する。加えて,このコリン介在性ニューロンに入力を送りうる回路についても,上述の手法を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:円安により,一部消耗品の費用が想定より高く,旅費の支出分を物品費に回すことにした。結果として,次年度使用額が生じた。
今年度の使用計画:実験に用いる組換えアデノ随伴性ウイルスベクターの購入に用いる。今年度も円安により,組換えアデノ随伴性ウイルスベクターの費用が高くなることが想定される。したがって,生じた次年度使用額についても,組換えアデノ随伴性ウイルスベクターの購入に充てる。
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