2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Integration and Development of Islamic Giving in Southeast Asia: An Examination of its Theoretical Background and Practice
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21J01822
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
足立 真理 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 地域研究 / 現代イスラーム経済論 / インドネシア / イスラーム的贈与 / 喜捨 / 東南アジア / マレーシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ザカートを含めたイスラーム的贈与がインドネシアやマレーシアにおいてどのように独自に統合、発展してきたのかという過程を描き出すことで、東南アジアで独自に再構築されてきたイスラーム的贈与の軌跡を具体的に明らかにするものである。今年度は世界的なCovid-19感染拡大のため、本研究課題遂行に重要なフィールドワークを実施することができなかったものの、以下の点について研究を推進した。 (1)ザカート管理団体の最新動向についてのオンラインインタビュー:本研究が対象とするインドネシアのザカート管理団体の喜捨をオンラインで受け付けるという新しい動向がみられた。コロナ禍で、ヒトとモノの移動が制限される中で、喜捨や慈善のオンライン化(クラウドファンディングやほかの寄付プラットフォーム)は世界的な潮流となっている。インドネシアのザカートにおいても、これまでのATM等のチャンネルと比べて格段に徴収額が増えた。ところがインタビューにより、徴収面での強化はなされているものの、分配面では未だにオフラインが主流だということが判明した。救援が必要でなおかつ感染のリスクも高い貧困層にこそ、オンラインで給付できるシステムの構築が急務であると考える。 (2)研究成果発表:研究成果の発表としては、喜捨のオンライン化について国内の学会発表を含む4回行った。東南アジア学会で発表したこと及び、日本語での書籍の分担執筆できたのも、ザカートの制度化とオンライン化について執筆・公開できたのは大きな成果であった。 (3)イスラーム的贈与の統合発展経路の歴史資料検討:インドネシアにおいて1973年から義務の喜捨ザカートと任意の喜捨サダカ、インファークが統合したことを、ザカート管理団体の名称変更から推察した。今後は、さらなる歴史的資料の検討により検証を重ねたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も世界的なCovid-19感染拡大のため、本研究課題遂行に重要なフィールドワークを実施することができなかった。一方で、新たにオンラインでインタビューをすることに成功したので、移動制限がかかる中でのフィールドワークの在り方を模索、推進できた。
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Strategy for Future Research Activity |
インドネシアにおいて、いかにザカートが制度化され、イスラーム的贈与として統合してきたのかに焦点を当ててきた。マレーシアのザカートに関しては、より標準化されているので体系的な研究があると思うが、まだ調べ切れていない。今後は、両国の比較を行うことで、歴史的発展径路の差異を解き明かしたい。
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Research Products
(3 results)