2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J00224
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
三品 拓人 関西大学, 社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / 児童心理治療施設 / 社会的養護 / 家族 / 子ども / 家庭 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、大きくは以下の2点を研究実績とする。 1点目に、初年度ということで本研究課題を遂行するための準備に注力した。児童心理治療施設に関する文献も中心に、先行研究を整理した。また、これまでは児童養護施設を専門としていたが、さらに新しいフィールドへ進むため、実習という形で、2ヶ月間、児童心理治療施設を訪問していた。その中で、予備的に現場の成り立ちや様子を学んできた。加えて、本研究課題と関連性の高い山口季音著『児童養護施設の生活環境のダイナミクス―家族で暮らせない子どもの育ちと職員の実践―』 を精読し「未来共創」に書評を執筆した。また、各種、共同研究を行うための準備等も行い、2年目3年目に研究を円滑におこなうための足場を固めた。 2点目に、2つの研究報告を行った。ひとつめは、検討会を重ねて共同報告として第31 回日本家族社会学会大会において「施設養護の実践における〈家族〉と〈子ども〉をめぐる概念 ――社会的養護施設での質的調査から――」というタイトルで報告を行った。施設養護の現場実践において、どのような家族規範や子ども規範が見られるのか、それらの「概念」は施設の種別によって、文脈が大きく異なるのではないかという点を知見として提示した。ただし、学会のフロアから様々な意見が出された(必ずしも種別の差に還元して解釈できないのではないかという点で)。ふたつめに、家族問題研究学会2021年度第3回例会「社会的養護における家庭的・家族的支援の再検討」に登壇者として招待された。現時点でこれまでの研究成果をまとめ、家族社会学の見地からは社会的養護において目指される「家庭」についてどのように考えることができるのか、報告を行った。近年、進行しつつある社会的養護分野における「家庭」の必要性について分野の異なる研究者と議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究自体は、可能な限り精力的にすすめていったものの、次の2点で計画とやや異なってしまった。 1点目は、調査の遅れである。本年度はじめの研究実施計画において、「新型コロナウイルスの流行の影響により、調査協力者の都合や緊急事態宣言等の社会情勢を踏まえると、研究計画にやや変更や遅れが生じる可能性がある」ことに言及していたものの、やはり年間を通して、他の福祉施設において社会調査を進めるという点では実施がかなわないものが複数あり、遅れが生じてしまっている。2点目に、研究環境の整備にやや時間がかかったことも影響して、国内外の先行研究の収集を行い、検討した上で研究ノートとして投稿するという当初の計画には間に合わなかった。 ただし、学会報告、論文投稿などきちんと行っており、研究会や受け入れ教員のゼミなどにおいても本研究課題に関連する報告を何度も行っているため、計画通りにいかない部分もあるが、研究の進捗自体に大きな問題があるわけではないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては以下の3点があげられる。 1点目に、研究成果の公表をおこなう。今年度中には形になっていないが、取り組んできた研究内容について次年度以降に学会や論文という形で発表していきたい。2点目に、先行研究のさらなる収集・整理を行う。今年度、海外文献への着眼が弱かった。今後は、より海外の研究に目を向けてレビューを行っていきたい。3点目に、社会調査を実施していきたい。社会情勢を勘案しながらではあるが、可能な限り、これまでと異なったフィールドにも積極的に参与していきたい。 以上に留意しながら、今後研究を推進していく。
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