2022 Fiscal Year Annual Research Report
福祉と他の分野の政策に対する有権者の態度に関する社会学的研究
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22J00090
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
池田 裕 関西大学, 総合情報学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 外見管理 / 韓国 / 国際比較 / 態度 / 多母集団同時分析 / 日本 / 比較可能性 / 福祉国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
福祉の分野では、国際比較調査のデータを用いて、福祉国家に対する態度の国際比較可能性の研究を行った。先行研究では、福祉国家に対する態度が国家間で比較可能だと先験的に仮定されることが多かった。本研究は、国をグループ化変数とする多母集団同時分析を行い、福祉国家に対する態度が日本と韓国のあいだで十分に比較可能であることを示す証拠を発見した。具体的には、福祉国家への支持の平均値、分散、独立変数の効果を比較することができる。同じモデルを使うと、国による因子負荷量の違いのために、厳密には、韓国以外の国が日本と比較可能でないこともわかった。それゆえに、日本と韓国の比較可能性を示す証拠は重要な発見であり、先行研究よりも厳密なやり方で、福祉国家に対する態度の比較研究を行うための出発点としての役割を果たす。本研究のモデルを使うことによって、日本と韓国の福祉国家への支持に関して、信頼できる結論を出すことができる。 福祉以外の分野では、日本のインターネット調査のデータを用いて、外見管理に対する態度の研究を行った。外見管理に対する態度は、身だしなみを整えることに関する規範的見解を指す。先行研究では、男性と女性の比較可能性に関する懸念があった。本研究は、性別をグループ化変数とする多母集団同時分析を行い、外見管理に対する態度が男女間で十分に比較可能であることを示す証拠を発見した。本研究のモデルを使うことによって、外見管理への支持の男女差に関して、信頼できる結論を出すことができる。加えて、女性が男性よりも外見管理を重視する一方で、独立変数の効果に男女差があるとはいえないこともわかった。性別にかかわらず、接客頻度と制服の存在は外見管理への支持と正に関連する。接客頻度が高い人と制服で働く人がそうでない人よりも外見管理を重視するという事実は、職場が外見管理に対する態度の形成において重要な役割を果たすことを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本と韓国の比較可能性を示す証拠を発見することによって、福祉国家に対する態度の比較研究の前提を確認することができた。これは、先行研究よりも厳密な比較研究を行う準備ができていることを意味する。同じ方法を外見管理に対する態度の研究に適用することによって、社会的属性による態度の違いを説明する理論を発展させることもできた。このように、福祉の分野と福祉以外の分野の両方で、今後の研究の基礎となる発見があった。
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Strategy for Future Research Activity |
福祉の分野では、日本と韓国の福祉国家への支持の研究を行う。国をグループ化変数とする多母集団同時分析を行い、福祉国家への支持の平均値、分散、独立変数の効果を比較する。福祉以外の分野では、科学への信頼の研究を行う。学歴をグループ化変数とする多母集団同時分析を行い、科学への信頼が学歴間で十分に比較可能であることを確認し、科学への信頼の平均値、分散、独立変数の効果を比較する。特に、価値観の効果に注目する。
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Research Products
(4 results)