2022 Fiscal Year Annual Research Report
Importin13により制御される細胞内のSUMO化分配調節機構の解明
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22J40203
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Research Fellow |
山口 泰華 熊本保健科学大学, 保健科学部, 特別研究員(RPD) (90448522)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | Ipo13 / Ubc9 / 生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ipo13(Importin13)トランスポーターはタンパク分子同士の複合体を形成せず、単独で細胞質と核の物質輸送を行なう。そのカーゴ分子の一つUbc9は、SUMO conjugating enzymeとして知られている。タンパク質がSUMO化されると、タンパク質の品質管理や細胞内局在の変化、他のタンパク質との複合体形成等が誘導されることで、種々のタンパク質の生理活性機能が調節されると考えられている。これらのタンパク質の生理活性機能の調節を通して、細胞分化や分裂が調節されると考えられているが、その全容は明らかになっていない。 我々はこれまでに、Ipo13トランスポーターが生殖細胞の発生時期特異的に発現上昇することを明らかにした。Ipo13は単独で細胞質と核の物質輸送を行なうため、その時期特異的発現上昇に応じて、カーゴ分子の輸送が行なわれると考えられた。そして、この発現上昇が生殖細胞特異的にSUMO化酵素のUbc9細胞内局在化を誘導することを明らかにした。そこで、Ipo13およびUbc9を含めたそのカーゴ分子の機能解明を計画した。 方法としては、まず誘導型Ipo13KOマウスをもちいて、目標1 Ipo13による細胞機能の制御機構を解明する。次いで、Ubc9を介したSUMO化タンパク質誘導制御とその生理活性に着目して、目標2 SUMO化されるタンパク質の細胞機能を制御する作用機序を解明する。さらに、目標3 精巣特異的に発現する抑制型Ipo13の発現に着目して、Ipo13そのものの輸送活性の制御機構を解明する。以上よりIpo13による細胞分化制御機構を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、タモキシフェン投与によりCreリコンビネースの核移行が誘導されるRosa-Cre-ERT2マウスとCreに応答して遺伝子欠損をおこすIpo13 floxedマウスを利用して、初期胚におけるIpo13遺伝子の全身性機能欠損(Ipo13 C-KOマウス)を誘導して解析した。始源生殖細胞の出現する7日目胚でIpo13を欠損させ、将来の生殖巣に生殖細胞が集積する11日目胚にて観察したところ、生殖細胞が欠失する表現型が観察された。このことから移動期の生殖細胞にIpo13遺伝子は必要であることが明らかになった。また、一方で成体精巣において、Ipo13を欠損させた場合、精原細胞から初期の精母細胞は減数分裂の進行をとめ、細胞死が観察された。 Ipo13の欠失による生殖細胞の細胞死がIpo13のカーゴ分子である Ubc9と関与するかを明らかにするために、Ipo13と同様にUbc9のfloxedマウスの作成を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
Ipo13 floxedの二系統のうち一系統の産仔が得られず系統の維持ができなくなってしまった。そこで、保存していた凍結胚からの個体作成を依頼した。現在、その作成したマウスを所属機関に導入し、掛け合わせを始めているので実験を進めることができる環境を整えられている。維持し続けている系統での、Ipo13の欠失による生殖細胞の細胞死に解析は引き続き行なう。 作成したUbc9のfloxedマウスの三系統の維持は安定しているので、生殖細胞におけるSUMO化の細胞分化制御機構の解析は引き続き行なう。
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