2022 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the cellular response to calcium influx based on endoplasmic reticulum-mitochondria interaction
Project/Area Number |
22J21762
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
須田 晃治郎 沖縄科学技術大学院大学, 科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | カルシウム / ミトコンドリア / 小胞体 / オルガネラ膜接触 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内への過剰なCa2+流入は、細胞老化や細胞死の原因の一つであり、小胞体とミトコンドリアは、細胞質に流入した過剰なCa2+を取り込み、細胞質Ca2+濃度を一定に保つ役割を果たす。本研究では、細胞内へのCa2+流入が小胞体-ミトコンドリア連携に与える影響を可視化し、その制御分子を同定すること、その分子が細胞老化や細胞死に与える影響を解明することを目的とした。
Ca2+流入後の細胞内Ca2+動態を観察した結果、小胞体のCa2+濃度は一過的に上昇した後、数分で基底レベルに回復する一方で、ミトコンドリアのCa2+濃度は24時間以上にわたり緩やかに上昇し続けた。このことから、細胞内への高濃度Ca2+流入時には、短期的には小胞体が、長期的にはミトコンドリアがCa2+を取り込むことが示唆された。次に、小胞体-ミトコンドリア間のCa2+輸送に重要な役割を持つミトコンドリア-小胞体接触領域(Mitochondria-associated ER membrane: MAM)を観察した結果、Ca2+流入後にMAMが増加することが明らかとなった。さらに、既報のMAM形成因子であるPDZD8をノックダウンすると、細胞内へのCa2+流入後のミトコンドリアCa2+濃度の上昇が抑制され、細胞質Ca2+濃度が顕著に上昇し細胞死に至った。これらの結果から、細胞内へのCa2+流入によるMAMの形成と、それを介したCa2+輸送が、高濃度Ca2+流入刺激を受けた細胞の生存に必要であることが示唆された。
さらに、Ca2+流入後にMAMでの局在が増加するタンパク質を探索し、Ca2+流入後のミトコンドリアCa2+濃度の上昇と細胞の生存に必要なMAM局在タンパク質の候補を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった、細胞内へのCa2+流入後の「細胞内Ca2+動態の可視化」と「小胞体-ミトコンドリア接触領域(MAM)の可視化」が完了している。その結果、細胞内へのCa2+流入によってMAM形成が増加し、小胞体-ミトコンドリアCa2+輸送が促進されること、それらが細胞の生存に必要であることが示唆された。さらに、当該年度と次年度で完了予定であった、「Ca2+流入依存的な小胞体-ミトコンドリア連携の制御分子の探索」についても、すでに候補分子が同定されているため、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定した候補分子によるCa2+輸送の制御機構や、MAMの破綻が細胞死を誘導する機構を明らかにする予定である。また、候補分子が、細胞死だけでなく、Ca2+流入依存的な細胞老化誘導において果たす役割についても綿密に調査を進める。
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