2023 Fiscal Year Research-status Report
Understanding the cellular response to calcium influx based on endoplasmic reticulum-mitochondria interaction
Project/Area Number |
22KJ3086
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
須田 晃治郎 沖縄科学技術大学院大学, 科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | カルシウム / ミトコンドリア / 小胞体 / オルガネラ膜接触 / 細胞死 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内への過剰なCa2+流入は、細胞老化や細胞死の原因の一つである。本研究では、Ca2+流入を引き起こす刺激として細胞膜損傷に着目し、様々な細胞膜損傷刺激が細胞老化を引き起こす可能性について検討した。その結果、界面活性剤、シリカビーズ、膜孔形成毒素によって亜致死レベルの細胞膜損傷を与えると、細胞老化が誘導されることが明らかになった。さらに、細胞質Ca2+キレーターであるBAPTA-AMを用いて、細胞内へ過剰に流入したCa2+の影響を緩和したところ、細胞膜損傷による細胞老化が部分的に抑制された。このことから、細胞膜損傷はCa2+依存的および非依存的な経路を介して細胞老化を誘導することが示唆された。以上の結果は、細胞膜損傷が細胞老化を引き起こすことを初めて報告するものであり、特に皮膚細胞などにおける、細胞老化の発生原因の解明に寄与する可能性がある。 また、小胞体とミトコンドリアは、細胞質Ca2+の恒常性を維持するため、細胞質に流入した過剰なCa2+を取り込む役割を果たしている。 2022年度の研究により、細胞内へのCa2+流入に伴う小胞体-ミトコンドリアコンタクトサイトの形成とCa2+輸送が細胞の生存に必要であることが示唆されていた。また、質量分析によるスクリーニングにより、この連携を制御する候補分子が同定されていた。 2023年度は、候補タンパク質11個の解析を行った。そのうちの一つはミトコンドリア上にドット状に局在しており、小胞体とミトコンドリアが重なる部位と共局在することが明らかとなった。この遺伝子をノックダウンすると、Ca2+流入後のミトコンドリアCa2+レベルの上昇が抑制され、細胞質Ca2+レベルが顕著に上昇し、細胞の生存が抑制された。以上より、このタンパク質はCa2+流入に応答した小胞体-ミトコンドリアCa2+輸送と細胞の生存を制御する新たな因子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった「Ca2+流入依存的な小胞体-ミトコンドリア連携の制御分子の探索」について、スクリーニングが完了し、候補分子の機能解析が順調に進んでいるため、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細胞内へのCa2+流入を起点とする小胞体-ミトコンドリアCa2+輸送機構のさらなる詳細なメカニズムや、小胞体-ミトコンドリアコンタクトサイトの破綻が細胞の生存を制御する機構を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度の研究において、機材の購入や一部のデータ取得について、方法の工夫などにより、当初計画より経費の使用が節約でき、予算の一部が未使用のまま残りました。
本年度に繰り越した研究費は、未完了のデータ取得の継続、機材の購入、国内外の学会発表および論文投稿費用に使用します。 これにより、プロジェクトの進行を加速し、効率的にデータ取得の完了を図るとともに、研究成果を広く発信することを目指します。
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