2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ3096
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
奥出 絃太 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | イトヨ / 雑種不妊 / 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、現在生殖隔離が成立しつつあるイトヨとニホンイトヨとの間で、雑種個体・戻し交配個体・野外交雑帯個体などを用いることで、様々な角度から雑種異常の原因遺伝子と原因変異を同定し、候補遺伝子の機能解析や他集団・他種との比較解析により、生殖隔離によりもたらされる種分化のメカニズムを考察することを目的とした。 はじめに、イトヨとニホンイトヨの雑種(精巣は異常)とイトヨおよびニホンイトヨの純系(精巣は正常)の精巣を1ヶ月おきにサンプリングし、組織切片の作成・bulk-RNAseq解析・フローサイトメトリー解析などにより、その発達過程および雑種精巣異常の発生過程を詳細に比較した。その結果、イトヨとニホンイトヨの雑種の異常な精巣では、ある特定の時期に精子形成過程に異常が生じ、さらに純系の正常な精巣と比較して、いくつかの精子形成に重要な遺伝子の発現が低下していることが明らかになった。また、先進ゲノム支援の協力を得て、精巣異常となる雑種および正常な純系からそれぞれ精巣を摘出し、シングルセルRNAseq解析を実施した結果、精巣の異常な雑種では、減数分裂進行中の細胞においてアポトーシスが引き起こされていることが示唆された。加えて、作出したF1雑種のメスに、イトヨのオスの精子をかけ合わることにより、雑種異常のQTL解析のための戻し交配個体を作出し、ddRADseq解析を実施したところ、精巣の異常と関連したピークがX染色体上に1つ同定された。この領域には約100遺伝子が含まれており、雑種不妊の原因遺伝子の絞り込みには、さらに個体数を増やして解析する必要があることが明らかになった。
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