2022 Fiscal Year Annual Research Report
Risk visualization of zoonotic diseases: Applying an ecological perspective on host-parasite relationships between ticks and wildlife
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22J01651
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
土井 寛大 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林研究部門 野生動物研究領域, 研究員
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | マダニ / 吸血源動物 / 野生動物 / リスクマップ / 分布予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
各地域マダニ相を把握するために行った旗ずり法の実施では、神奈川県と茨城県南部のマダニ相調査対象地域において、これまで生息が報告されていない地域で4種(タカサゴキララマダニ、タカサゴチマダニ、ヤマアラシチマダニ、ベルルスカクマダニ)の生息を確認した。この結果によってこれまで西日本に分布するとされていた種の分布が東日本に拡大する傾向にある可能性が示された。分拡大傾向にある種が見つかったことによって、宿主動物の特定がマダニの分布拡大様式に与える影響をより明確に提示できると考えられるほか、マダニ種の分布情報が更新されたことによって、より正確な感染症リスクを示した。 採取されたマダニからPCRによる吸血減動物由来の遺伝子の検出を試みた。その結果、マダニから哺乳類の遺伝子を検出するプライマーセットを確認できた。これはマダニの生息分布について基盤的情報を充実させることに貢献したほか、哺乳類を検出するプライマーの確認は、吸血源動物を特定する手法の確立に貢献した。哺乳類宿主をPCRによって検出できることが明らかになったことから、吸血源動物の特定がマダニでも可能であることが確認できたほか、より効率的な検出のためのプライマーセットの設定を完了した。 マダニ採取地点での自動撮影カメラ調査は順調に野生動物の観察地点への往来を確認できており、種の同定及び撮影頻度の計算に関しても順調に進んでいる。 リスク可視化を目的としたマダニ推定分布図の作成については、景観情報の整備を完了したほか、試験的な種分布モデルを作成し、分布図の作成のための基盤が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸血源動物の特定に必要なプライマーセットの確定について、脊椎動物全般を検出するプライマーセットが良好でなかったが、哺乳類を特異的に検出するプライマーセットの設定に切り替え、概ね良好な結果を得た。 分布予測を行うための地理情報システムの配備が完了したほか、景観情報の設定と種分布モデルの作成は順調に進み、基盤設定が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳類以外の宿主検出を可能にするため、鳥類ならびに爬虫類の宿主を検索するためのプライマーを探索する。また、前年度に引き続き自動撮影カメラによる野生動物調査と旗振り法によるマダニ採取を継続するが、予定通り多摩川流域、利根川流域などへ調査地域を広げる。 このほか、マダニからのDNA抽出と哺乳類宿主の検索、ならびに自動撮影カメラで撮影された動物種の同定を並行して推進する。
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