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2022 Fiscal Year Annual Research Report

質量階層性と強い相互作用のCP問題の包括的研究

Research Project

Project/Area Number 22J00537
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionHigh Energy Accelerator Research Organization

Principal Investigator

鈴木 資生  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2025-03-31
Keywords質量階層性問題 / 強い相互作用のCP問題 / CP対称性
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、現代素粒子物理学における未解決問題である質量階層性問題と強い相互作用のCP問題を解決する理論の提案とその検証可能性を明らかにすることである。
ここで質量階層性問題とは如何にしてヒッグス粒子の質量が重力の典型的な質量スケールであるプランクスケールよりも10桁以上も小さいのかという問題である。また強い相互作用のCP問題とは、強い相互作用に関わる理論のパラメータ間に非常に不自然な打ち消しを要求する問題である。これらの問題は素粒子標準模型を超える物理の存在を強く示唆しており、様々な実験により新粒子探索がなされている。

本研究では4次元時空間を5次元に拡張した余剰次元模型を元に、強い相互作用のCP問題を解決する模型を構築した。ここで余剰次元模型とは、通常の時間と3次元空間の計4次元の時空間に加えて、新たな空間次元を導入した模型であり、質量階層性問題を解決する候補となっている模型である。一方で、強い相互作用のCP問題を解決する模型として、粒子と反粒子を入れ替える対称性であるCP対称性を用いた模型が提案されている。この模型では、高エネルギースケールでCP対称性が回復していることで強い相互作用のCP問題を解決している。しかしながら、この後者の模型は4次元時空間における模型であり、質量階層性問題を抱えていた。我々はこの模型を5次元模型への拡張することで、二つの問題を解決する模型を提案した。さらに模型を検証するために、初期宇宙への影響や重力波生成についても研究を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

歪んだ余剰次元模型を元に、強い相互作用のCP問題を解決する模型を構築した。より詳細には、先行研究としてCP対称性の自発的な破れを用いて強い相互作用のCP問題を解決する4次元模型が提案されていた。しかしながら、この模型では質量階層性問題を解決できていなかった。本研究では、この模型を余剰次元に埋め込むこと二つの問題、強い相互作用のCP問題と質量階層性問題、を解決する模型の構築を試みた。先行研究の模型では素粒子標準模型に加えて重いクォークやCP対称性を自発的に破る複素スカラー場などが導入されている。これらの質量階層性を説明するために3枚のブレーンを導入した。さらに我々の模型ではクォーク間の質量階層性問題についても解決を試みている。

また非常に大きな崩壊定数を持つアクシオン模型が暗黒物質となる可能性についても研究を行っている。本研究では特に大統一理論のスケールに近い崩壊定数をもつ模型に注目している。このように大きな崩壊定数の模型は、現在の暗黒物質の量を説明するためにアクシオンの初期振幅に不自然な微調整が必要とされている。この不自然な微調整問題を解決するため、インフレーション中にアクシオンがQCDから大きな質量を得るシナリオを用いて、新たなCP位相などによってアクシオンの振動振幅の初期条件が決定される模型の研究を行っている。

Strategy for Future Research Activity

先行研究において、質量階層性問題と強い相互作用問題を解決する3枚のブレーンを持つ余剰次元模型を提案した。しかしながら、その模型の 宇宙における発展や検証可能性は未だ明らかになっていない。宇宙の発展を明らかにするために、まず模型の高温度での振る舞いを探る。具体 的には、高温の状態はAdS-S時空によって記述されると考えられる。そして、その後宇宙の温度が下がってくるとAdS-S時空からRandall Sundru m時空といった別の相への転移が起こると考えられる。各相の自由エネルギーを評価することで、相転移する確率を計算し、現実的なパラメタ ー空間もしくは機構で相転移が完了するのかを明らかにする。特に、3枚のブレーンでは一次相転移が2度起こることが期待され、通常の2枚の ブレーンのシナリオとの違いも明らかにする。また、相転移に伴い重力波の生成が期待され、その検証可能性も明らかにする。そして、二つの 相転移完了後の宇宙の発展についても明らかにする。特に、余剰次元による通常の宇宙論からのずれの検証可能性について明らかにする。 さらに、先行研究においてはペッチャイ・クイン対称性を用いており、この対称性の破れに伴う宇宙ひもの生成、発展やその後のドメインウォ ールの生成、発展についても明らかにする。この宇宙ひもやドメインウォールによって生成される重力波についてもその検証可能性を明らかにする。さらなる計画としては、RS模型での一次相転移に伴う原始ブラックホールの生成に関する研究、高温相での量子アノマリーに関する研究、そしてより一般的なブレーン固定機構に関する研究等がある。特に原始ブラックホールは暗黒物質の候補であり、さまざまな観測で検証が可能である。生成されるブラックホールの質量や生成量、宇宙論への影響を明らかにする。

  • Research Products

    (7 results)

All 2023 2022 Other

All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] 李政道研究所(中国)

    • Country Name
      CHINA
    • Counterpart Institution
      李政道研究所
  • [Int'l Joint Research] Korea University(韓国)

    • Country Name
      KOREA (REP. OF KOREA)
    • Counterpart Institution
      Korea University
  • [Int'l Joint Research] Stony Brook University/Harvard University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Stony Brook University/Harvard University
  • [Int'l Joint Research] Cern(スイス)

    • Country Name
      SWITZERLAND
    • Counterpart Institution
      Cern
  • [Journal Article] More on fake GUT2022

    • Author(s)
      Masahiro Ibe, Satoshi Shirai, Motoo Suzuki, Keiichi Watanabe, Tsutomu T. Yanagida
    • Journal Title

      Journal of High Energy Physics

      Volume: 07 Pages: 087

    • DOI

      10.1007/JHEP07(2022)087

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] A natural model of spontaneous CP violation2022

    • Author(s)
      Sudhakantha Girmohanta, Seung J. Lee, Yuichiro Nakai, Motoo Suzuki
    • Journal Title

      Journal of High Energy Physics

      Volume: 12 Pages: 024

    • DOI

      10.1007/JHEP12(2022)024

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] A natural model of spontaneous CP violation2023

    • Author(s)
      Motoo Suzuki
    • Organizer
      PHENO2023
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

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