2023 Fiscal Year Annual Research Report
将来のために,過去に見た物の心的イメージを操作する能力の進化と発達
Project/Area Number |
22KJ3128
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
永野 茜 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 心的表象操作 / 進化 / 発達 / 霊長類 / 齧歯類 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは,目の前にある物体を実際に操作しなくても,その物体の心的表象(イメージ)を操作することによって,その物体が環境に及ぼす結果を推測することができる。本研究では特に,齧歯類やサル類を対象として,心的表象操作能力の進化過程および発達過程を検証するとともに,サル類を対象に心的表象操作の神経機構を解明するために必要な行動訓練を行った。 2021年度は,齧歯類デグーを対象として,幼齢期から成熟期にかけて気質や空間認知能力がどのように変化するのかということを検証するための縦断研究を行った。2022年度から2023年度にかけては,ニホンザルを対象に心的表象操作を検証するための準備段階として行動訓練を実施した。今年度は,本研究の基礎となる齧歯類・ラットの心的表象操作およびデグーの空間認知や飼育場面での行動の発達過程について,1本の論文 (永野・上北, 2023) と1つの書籍の章 (永野,印刷中)として成果を発表した。加えて,デグーの空間認知の発達過程については,国際誌への掲載を目指して,現在,投稿準備中である (Nagano, Betsuyaku, & Kuroshima, in prep)。加えて,3個体のニホンザルを対象に,現在の状態から未来や過去の状態を心的に表象する能力の神経機構をMRIを用いて解明するために必要な行動訓練を行った。いずれの個体についても,モックMRI内で,モニター内の左右に提示される刺激に,位置的に対応する2つのアクリル製の箱(センサーボックス)のうちいずれか一方の箱に手を入れることで,刺激選択を行わせた。3個体中1個体については,幾何学図形を用いた数および色の遅延見本合わせ課題を習得した。残り2個体については,現在,幾何学図形を用いた色の遅延見本合わせ課題の訓練を実施中である。
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