2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J01097
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
工藤 将馬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | 筋骨格シミュレーション / 筋骨格モデル / 起立動作 / 姿勢制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,バランス能力が低下した個人の転倒回避動作をシミュレートし,予期せぬ外乱に対する転倒回避の成否を決定づける筋力発揮/制御特性を明らかにすることを目指す.具体的には,バランス能力が低下した個人の予期せぬ外乱に対する股関節内外転筋群の筋力発揮/制御特性の基準値を取得し,これらの能力の変化が転倒回避動作(下肢ステップ応答)の成否に及ぼす影響を解明する. 本年度は転倒回避動作のシミュレーションに用いる筋骨格モデルを構築した.適合度と汎化性能のバランスを定量的に評価することでヒトの身体動作を表現するモデルの最適自由度を決定し,このモデルに筋腱複合体のモデルを実装することで,バランス能力が低下した個人(高齢者)の筋力発揮/制御特性を有する筋骨格モデルを構築した.このモデルの評価の為に,座位からの起立動作をシミュレートし,実験的に観測されている若年者と高齢者の起立動作特徴を構築した筋骨格モデルによって再現することが可能であることを確認した. モデルの自由度に関する成果は国内学会で既に報告済みであり,学術雑誌への論文投稿準備を進めている.起立動作のシミュレーションに関する成果においても,国際学会での発表が受理されており,こちらも学術雑誌への論文投稿準備を進めている.本年度の成果を踏まえ,次年度は構築した筋骨格モデルを用いて若年者および高齢者の転倒回避動作をシミュレートし,個人のバランス能力と予期せぬ外乱に対する転倒回避の成否との具体的な因果関係を解明することに取り組む.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの感染拡大に伴い高齢者を対象とした実験が実施できなかった為,転倒回避の成否を決定づける筋力発揮/制御特性を実験的手法によって解明することに着手できなかった.これに伴い本年度は,当初の研究計画を変更し,若年者及び高齢者の筋力発揮/制御特性を実装することが可能な筋骨格モデルを構築した.具体的には,モデルの適合度と汎化性能のバランスを考慮に入れたヒトの身体動作を表現するモデルの最適自由度を決定した.また,このモデルに筋腱複合体のモデルを実装することで,バランス能力が低下した個人の筋力発揮/制御特性を有する筋骨格モデルを構築した.これにより,コンピュータ上で若年者および高齢者の転倒回避動作のシミュレーションを行うことが可能になった.以上のことから,不測の事態に応じて当初の研究計画に変更を加えながらも,研究は順調に進んでいると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
バランス能力の低下した個人の筋力発揮/制御特性を実験的に明らかにすること,その特性を実装した筋骨格モデルを用いて,筋力発揮/制御特性と転倒回避の成否との具体的な因果関係を筋骨格シミュレーションによって明らかにすることに取り組む. 実験では,若年,高齢および転倒経験者の股関節内外転筋群の骨格筋量(筋力発揮特性)と,静止立位および歩行動作中の左右方向への力学外乱に対する筋活動開始時間・筋力発揮速度(筋力制御特性)を測定/評価し,各対象者の股関節内外転筋群の筋力発揮特性および筋力制御特性を解明する. 筋骨格シミュレーションでは,股関節内外転筋群の筋力発揮能力と筋力制御能力の設定変数値を変更した際の予期せぬ左右方向への力学外乱に対する下肢ステップ動作をシミュレートし,転倒回避の成否に寄与する筋力発揮/制御能力を解明する.
|
Research Products
(4 results)