2023 Fiscal Year Research-status Report
古環境復元に向けた地球外物質フラックス・大規模陸上火成活動の推定手法の確立
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22KJ3196
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
松本 廣直 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門海底資源センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | osmium isotope ratio / Cretaceous / Platinum group elements |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度で得られた白亜紀後期Turonian~Coniacianにかけての海水オスミウム同位体記録・白金族元素パターンと宇宙起源物質流入との関連について、国際誌(Scientific reports)に投稿し受理・掲載された。それに加えて、白亜紀前期Berriasian~Aptian、白亜紀後期Turonian~Maastrichtianにかけてのオスミウム同位体記録の復元を行った。これにより、世界で初めて白亜紀を通じた高解像度かつ連続的なオスミウム同位体比のリファレンスカーブを構築した。今回得られた長期のオスミウム同位体比記録と、先行研究で報告されているSr同位体比の結果を比較した結果、白亜紀後期に大陸風化のパターンが変化した可能性が示唆された。 また、白亜紀前期アプチアンに発生した大規模火成活動と環境変動との関連に関しても研究し、太平洋の堆積物Deep-Sea Drilling Project (DSDP) 167, 463からOntong Java海台起源と考えられる火山灰層を認定した。Pb同位体比分析結果も行い、地球化学的にも火山灰がOntong Java海台に由来することを確認した。この火山灰層出現のタイミングと環境変動とのタイミングの比較を行った結果、オントンジャワ海台噴火の際に発生した大規模な脱ガスイベントが環境変動の引き金となった可能性が明らかになった。 太平洋DSDP Site 463コアにおける白亜紀中期Aptianの浮遊性有孔虫層序の構築も行っており、年代決定に重要なGlobigerinelloides algerianus Zone, Hedbergella trocoidea Zoneの正確なレンジの決定を行うとともに、この時期に特徴的に産出するPseudoplanomalina cheniourensisの産出レンジの制約にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Os・白金族元素分析・論文投稿ともに順調に進んでおり、当初期待した成果が得られていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は顕生代の大規模火山活動発生時期にターゲットを絞り、その当時の海水Os同位体比記録の復元を行い、火山活動発生場所と海水のOs同位体比変動との関連を議論する予定である。サンプル・分析環境は整っており特に大きな課題はないと考えている。また現在微化石層序の構築についても研究を始めており、進展は順調である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(令和5年度執行残)は、全額、雇用PD等経費のため、日本学術振興会へ返還予定
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Research Products
(7 results)