2023 Fiscal Year Research-status Report
南海トラフ地震の「臨時情報」をふまえた地域対応の分析
Project/Area Number |
22KJ3220
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 高志 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 津波防災 / 科学教育 / アクションリサーチ / 臨時情報 / 南海トラフ地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は、大きく分けて以下の2つである。 1つ目は、自治体を対象にした研究成果である。初年度には静岡県、愛知県、愛媛県、高知県、宮崎県などの自治体の防災部局の職員を対象にしたインタビュー調査を行い、その成果をもとに、宮崎県や高知県の自治体にて自治体職員を対象にしたワークショップを実施し、その効果をアンケート票で測定した。ワークショップでは初年度に開発した映像教材も活用し、臨時情報発表時のシナリオを想起しやすくする工夫も施した。また、訓練の際にはコマンド・ポスト・エクササイズ(CPX)という手法を援用して、自治体の各部局の課題を包括的に確認できるプログラムを開発し、複数の自治体で実践・検証することができた。このような訓練を行った自治体では、臨時情報に関する対応計画を策定済みのところもあったが、訓練を通じて対応計画の不備や追加検討の必要性について気づく自治体職員が多数現われ、臨時情報に関する実質的な対策を新たに進めていく糸口になっていた。 2つ目は、地域を対象にした研究成果である。上記1つ目と類似のワークショップを、高知県をはじめとする太平洋沿岸部に居住する住民対象に行い、臨時情報に対する理解を促進する試みを展開した。具体的には、映像教材を使ったワークショップを行い、参加者は映像教材の中で提示された選択式の問いに答え、臨時情報発表時における対応策の多様性や複雑性について学習した。その学習効果をアンケート票を用いて測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
南海トラフ地震・臨時情報に関する対応策の必要性を自治体職員が強く認識していて、複数の自治体職員と協働でワークショップを実施し、研究活動が順調に進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における今後の推進方策は、大きく分けて以下の3つである。 1つ目は、自治体を対象にした研究である。高知県、宮崎県などの自治体の行政職員を対象にした調査を継続する。 2つ目は、学校を対象にした研究である。今後とも、高知県や宮崎県などの小中学校や高等学校の教員を対象に、南海トラフ地震・臨時情報に関する調査を継続する。 3つ目は、地域を対象にした研究である。高知県や宮崎県をはじめとする太平洋沿岸地域の住民に対する調査を継続する。
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