2021 Fiscal Year Annual Research Report
感覚運動ネットワークの再編成を誘導する標的定位型ニューロフィードバック法の開発
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21J20955
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩間 清太朗 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 頭皮脳波 / 感覚運動ネットワーク / ニューロフィードバック / 運動機能修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、運動関連脳領域の活動パタンから同定される感覚運動ネットワークを標的とした神経機能修飾技術の概念実証である。上肢運動機能に関連する脳内ネットワークの機能変化を誘導するニューロフィードバック法を開発するため、本年度は非侵襲な脳活動計測法である頭皮脳波から運動に関する情報のデコーディング技術について検討を進めた。 半球間の位相同期性が感覚運動処理過程におけるひとつの介入焦点であることを、文献調査および今年度取得した健常成人30名のデータから見出した。また、補足運動野は従前の生理学研究から、運動計画の出力と両手運動の制御への関与が報告されている。この領域の興奮性と、接続する領域である一次運動野を一過的に調整し、その後に生じる行動課題パフォーマンスの変化を検討可能と着想した。 そこで、不安定な両手運動の代表例である逆位相の両手運動に着目し、実験系の構築と予備検討を実施した。逆位相とは右手と左手で異なる指を動員することを指し、半球間の干渉により自発的に同じ指を動員する順位相へ転移する。ネットワークの再編成にともない、両手の独立性が向上するかを検証するため、行動学的に指の運動を記録するためのアクションカメラ映像、キーボードの入力タイミング記録を頭皮脳波計測下で行う実験系を構築した。指のタッピング運動に起因する体動を最小限にし、信号品質を担保するため、あごのせ台や体動に由来する信号を効果的に除去する独立成分分析を導入した。これにより、ハードウェアとソフトウェア、2つの観点から信号品質を改善するアプローチを実施したため、複数の被験者で安定的に行動課題中の頭皮脳波を計測し、脳波を実時間処理しフィードバックするシステムの構築が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は両手運動課題中の頭皮脳波計測系を構築し、背景脳状態と課題成績の変化に関する検討を進めた。 脳波計測中の信号品質を改善するため、実験系と解析フローの修正実施した。運動課題中の典型的な脳波反応を健常者30名を対象に、安定的に観察できることを認めた。 さらに、実験データから行動課題成績に関連する脳波特徴量を見出し、研究内容を第50回北米神経科学大会にて発表した。 来年度は本システムを用いて、および同定した特徴量を随意的に変調させるニューロフィードバック訓練を行うことで研究目的である神経ネットワークの変化と行動成績の関連を因果的に検証することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は両手運動課題の準備中に生じる両側半球の運動関連領野が呈する反応について検討する。2021年度に実施した研究にて計測した頭皮脳波データをもとに、運動に関連するネットワークの各領域が行動へ与える影響を検討する。訓練中の行動変化に関連する神経ネットワークの変化をニューロフィードバックにより促通することにより、運動制御技能は単一の領域の神経興奮性だけでなく、各領域間の情報伝達を操作することでより向上するか検討する。
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