2023 Fiscal Year Research-status Report
文理工融合・多国連携型研究による南太平洋島嶼域の巨大津波履歴の全容解明
Project/Area Number |
22KK0010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 和久 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10376543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 祐典 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10359648) [Withdrawn]
石澤 尭史 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50849320)
柳澤 英明 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (70635995)
阿瀬 貴博 東京大学, 大気海洋研究所, 技術職員 (20726898)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2028-03-31
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Keywords | 文理融合 / 多国連携 / 南太平洋島嶼 / 巨大津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリネシア等の南太平洋島嶼域では,巨大津波に関する断片的な地形・地質記録や神話記録が報告され,過去に巨大地震や海底火山噴火が繰り返し発生した可能性があるが,実態は明らかにされていない.本計画は,学際的な日本側メンバーと現地研究者らが国際共同研究を行い,過去数千年間に南太平洋地域で発生した巨大津波の履歴と規模,発生要因の全容を解明する.そして,民俗学的考証を加えた災害神話と地質・考古記録との関係性を検証し,防災教育素材として成果を活用することで地域防災力を向上させる. 本年度は,トンガ王国およびフィジーにおいて国際共同で現地調査を実施した.トンガ王国においては,津波堆積物の可能性のあるイベント層を複数層発見した.このうち,1層は津波により運搬された巨礫堆積物と同時堆積しており,巨大津波イベントだった可能性がある.また別の層は,サンゴ片や貝殻等を含む海成イベント層を火山灰が厚く覆っており,火山性津波堆積物である可能性が示唆された.フィジーにおいても複数地域において現地調査を実施した.このうち,北海岸沿いでは明瞭なイベント層は見出せなかった一方で,南海岸沿いの数カ所では,イベント堆積物の可能性のある砂層を発見した.これに加えて,フィジーやトンガ王国の研究者と,今後の連携強化に向けた意見交換を行った.さらに,津波計算を実施するための海域および陸域の地形データの収集を行い,予察的な数値計算を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に計画していた内容をおおむね達成することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度にもトンガ王国およびフィジーにおいて現地調査を行い,調査地点をさらに増やす予定である.それに加えて,輸出入手続きを行った上で試料を輸送し,各種分析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
円安の影響で旅費高騰が著しいため,消耗品等の購入を予定していた予算を次年度の旅費として活用する必要が生じたため.
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