2023 Fiscal Year Research-status Report
いかにして国際社会で使える英語を身につけるか:スピーキング力と意欲の向上を端緒に
Project/Area Number |
22KK0029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植阪 友理 東京大学, 高大接続研究開発センター, 准教授 (60610219)
仲谷 佳恵 東京女子大学, 現代教養学部, 特任講師 (70771864)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | 外国語学習 / 英語スピーキングスキル / 国際的な能力 / 新しい評価方法 / モチベーションの向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究2年目(2023年度)の主な目標は、ニュージーランドにおける実践から観察し学んだことに基づいて、スピーキングタスクとポートフォリオ評価を開発することであった。それらが日本の実際の教室環境で使用できるよう、幼稚園から高校までの教員たちとアクションリサーチの形で共同実践を行った。成果は以下である。(1)海外での研修旅行中に学生が対話型スピーキングスキルを活かせるように、練習タスクと評価を作成しテストした。本研究チームが協力した高校の2つのクラスの学生がニュージーランドとインドネシアを訪れた。旅行前の準備と、旅行中に行うために割り当てられたタスク(現地の人にインタビューや情報の共有を行い、それらをビデオで記録すること)の両方が、学生の英語による対話型スピーキングスキルと自信を大幅に向上させるのに役立った。(2)中学校の教員と協力して、プレゼンテーションの後で行われる質疑応答セッションにおいて、中学生の対話スキルを高めるための英語スピーキング教材を作成した。この実践は、中学生が準備したスピーチはうまく行うことができる一方で、質疑応答で苦労することが多いという教師のニーズに応えたものである。「何を」「どのように」尋ねるかがわからず、かつ適切に答えられないという問題点に訴求した。(3)日本の小学校教員と台湾の教員が協力して、小学生たちが本当に興味を持っていることを互いに共有するオンラインセッションを行った。この活動の目的は、小学生の英語でのコミュニケーションを学ぶ興味と動機を高めることであった。(4)研究チームが開発した英語スピーキング能力向上のためのシステムのタスク内容を改善した。具体的なアップデートの内容は、システムが提示する画像を高校生の学習達成レベルと日常生活により即したものとし、授業の冒頭で形成的評価に適した形式とした。この内容は、日本教育工学会春季学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幸いなことに多くの学校教員たちが協力的であったため、彼らが英語の授業で実際に直面しているニーズや課題に対処するためのスピーキングタスクの開発が可能となった。したがって、彼らと相互に利益を得る形で共同作業を行うことができた。彼らは学生の対話型英語スピーキングスキルのさまざまな側面を向上させることができ、私たちは研究計画に沿って必要なデータを収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクトの3年目(2024年度)の主な目標は、日本の教員と協力して、学生の対話型英語スピーキング能力を育成するため、より多くのスピーキングタスクとそれに対応する評価基準の作成を続けることである。また、台湾とスペインの国際的な協力者と共に、現地学生に対し、授業ニーズに合わせて調整されたタスクと評価基準の作成に取り組みたいと考えている。また、日本の学生とこれらの国の学生がオンラインで対話し、相互協力が必要なタスクを与えることで、双方の学生が英語を使用する機会をさらに発展させる予定である。これにより、学生たちは現在私たちが置かれているグローバルな環境に、英語を使用して参加することの本当の価値を経験し、理解することができると考えられる。さらに、私たちが開発したシステムを学校現場で活用してもらい、英語で会話するための方略の使い方の変化だけでなく、学習者のスピーキングにおける自己効力感や学習の主体性の変化などの心理的な要因の変化も分析する。最後に、現在持っている学生のスピーキングとその振り返りのデータを分析し、それらを国内外の学会やジャーナルにおいて報告する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度の研究活動として遅延は生じていないが、各学校・教員とのスケジュール調整の結果、当初計画していた活動費用に乖離が生じた。持ち越した費用は、さらに研究を促進させるため出張関連費用として今年度助成金と併せて使用予定:国内の協力教員の教室を訪問し、彼らと一緒に学生のための英語スピーキングタスクの実施を行い、スピーキングパフォーマンスのデータを収集する。また、2025年2月に再びニュージーランドを訪問し、2025年3月にシンポジウムを開催する。このシンポジウムには、国際的な協力者の少なくとも一人を基調講演者として招待する予定である。また、スピーチデータのコーディング及びスコアリング等の分析や取りまとめをおこなうために研究補助員の給与として使用する予定である。
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