2023 Fiscal Year Research-status Report
An International Comparative Study on Perspectives of Language Education that Results in the Transformation of Discourses
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22KK0033
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
嶋津 百代 関西大学, 外国語学部, 教授 (90756868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 美砂子 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (10837553)
榎本 剛士 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (30582192)
松田 真希子 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10361932)
神吉 宇一 武蔵野大学, グローバル学部, 教授 (40726551)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 言説分析 / 言語教育観 / 批判的言語教育 / 世界の日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本・アメリカ・オーストラリア・台湾・韓国・ブラジルの6カ国において日本語教育に関わる言説を収集し、それらに根づく言語教育観を捉え、普遍性と独自性の双方の観点から各国の課題を見出すことを目的としている。本研究の2年目である令和5(2023)年は、以下の取り組みを実施した。 (1)令和5(2023)年度は、日本・アメリカ・オーストラリア・台湾・韓国・ブラジルにおける日本語教育関係者対象のアンケート調査を行うために、アンケートの質問事項を検討・決定した。アンケートの質問事項は、それぞれの国の日本語教育の特徴が反映された質問がいくつか設定されている。ただし、6カ国に共通して回答を求める質問が3つ含まれており、それらの質問の回答は対照比較分析に用いる予定である。 (2)本研究の代表者・分担者と各国の海外研究協力者が本研究に関連する情報や知識を共有しておくために、海外研究協力者にはそれぞれの国の教育現場での現状を講演、あるいは助言していただいた。それらの内容に基づき、本研究の代表者・分担者が中心となってインタビュー調査のパイロット調査・本調査を開始した。その一例として、令和6(2024)年3月、台湾において言説収集と、台湾の大学の日本語教員に対するインタビュー調査を行った。 (3)本研究に関わる文献調査や基礎研究に基づき、令和5(2023)年9月1-3日にオーストラリア・シドニーで開催された豪州日本研究学会研究大会で「イデオロギーの変容の資源としての言説分析―異質なものとの共生に向けて―」というタイトルのパネルセッションを組み、本研究の一部の分担者および海外研究協力者が研究成果を発表した。 (4)2023年度は、本研究を通して得た資料を公開し共有するためのウェブサイトの構築を進めた。2024年6月に公開予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5(2023)年度は、研究計画当初の予定通りの成果を上げることができた。令和4(2022)年度に行った文献調査などの基礎研究を土台に、本研究の代表者・分担者が、海外研究協力者の助言を得ながら、海外研究協力者と協働で、日本・アメリカ・オーストラリア・台湾・韓国・ブラジルでのアンケート調査の試行、およびインタビュー調査の開始に進むことができた。令和4(2022)年度の韓国における言説収集・インタビュー調査に続き、令和6(2024)年3月には、台湾で言説収集、および大学の日本語教員へのインタビュー調査を終えている。令和6(2024)年度は、6カ国におけるアンケート調査と、アメリカ・ブラジルでのインタビュー調査を予定している。また、令和6(2024)年度に行う研究成果の発表準備や、令和7(2025)年度に実施するワークショップ企画もすでに開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目である令和6(2024)年度の目標は、日本・アメリカ・オーストラリア・台湾・韓国・ブラジルにおいて日本語教育関係者へのアンケート調査を行うことである。それらのアンケート結果をもとに、各国の日本語教育の特徴や歴史的経緯、学習者のニーズなどを明らかにする。また、各国でどのように日本語教育が語られるのか、アンケートの質問に対する回答から検討する。 また、令和6(2024)年度は、本研究の代表者・分担者がアメリカ・ブラジルに渡航し、現地の日本語教育機関の参与観察、および教師や学習者、日本語教育関係者などへのインタビュー調査を実施する予定である。これらの調査を通して収集した、日本語教育に関する言説を分析することで、各国の言語教育観の可視化を図り、検討すべき課題を特定していく。さらに令和6(2024)年度からは、言説分析で浮上した問題点や課題を取り込んだ「言語教育観」教育プログラムの開発・検証作業に入る。 令和7(2025)年8月に、第3回批判的言語教育国際シンポジウム(日本・関西大学)が行われるが、そこで6カ国合同のラウンドテーブルを開催する予定であり、令和6(2024)年度は、その具体的な企画と準備に着手する。
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Causes of Carryover |
本研究の2年目である令和5(2023)年度も、当初の研究計画の予定にしたがい、おおむね順調に進めることができた。しかしながら、本研究も昨今の円安の影響を多大に被り、本研究の代表者・分担者が研究成果を海外の学会で発表できたのは1度だけであった。また、本国際共同研究では、海外研究協力者との協働が研究課題の遂行を左右するが、令和5(2023)年度は、海外研究協力者の講演・助言の機会が予定より少なく、その分の謝金が必要でなくなり、次年度使用額が生じた。令和6(2024)年度は、アメリカ・ブラジルでの研究発表および現地調査を予定しており、旅費や研究協力者への謝金、調査にかかわる物品購入などの支出を見込んでいる。
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