2022 Fiscal Year Research-status Report
味覚と消化機能の進化から紐解く果実食鳥類の求愛行動
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22KK0079
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
戸田 安香 明治大学, 農学部, 特任講師 (10802978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 喜朗 明治大学, 農学部, 専任教授 (10451840)
中北 智哉 明治大学, 農学部, 助教 (40852786)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 味覚 / 鳥類 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
感覚受容のシステムは、生物が外界に適応し繁栄するために、長い年月をかけて進化してきた。これまで当国際共同研究グループは、花蜜食鳥類であるハチドリや鳴禽類を対象に研究を行い、旨味受容体が花蜜に含まれる糖を受容する能力を新たに獲得したことで、これらの鳥類を繁栄へと導いてきた可能性を示した。本研究では、同じく糖を豊富に含む果実を主食とするマイコドリ科鳥類を対象に解析を行う。マイコドリは、オスのアクロバティックな求愛ダンスが性淘汰の例としてよく知られるが、高栄養価である果実を食糧源として利用できたことが、多くの運動量を要する求愛行動の進化を促したと考えられている。そこで、今回新たに解読したマイコドリのゲノム配列を元に、旨味受容体や腸管二糖分解酵素の機能を調べ、味覚や消化機能が果実食性獲得にどう貢献してきたかを明らかにする。 本年度は、共同研究機関であるMax Planck Institute for Biological Intelligenceにおいて、マイコドリ科鳥類の旨味受容体遺伝子(Tas1r1, Tas1r3)のクローニングを行った。クローニングが完了した種について、速やかに配列情報を共有し、明治大学において培養細胞発現用プラスミドを作製し、機能解析に供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイコドリ科鳥類の旨味受容体遺伝子のクローニングを行い、機能解析を実施することで、糖応答の有無を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
旨味受容体の変異体解析などから、糖受容能獲得に寄与したアミノ酸残基を同定し、分子メカニズム解明につなげる。消化酵素の機能解析を実施し、味覚や消化機能が果実食性獲得にどう貢献してきたかを明らかにする。また、共同研究先であるBaldwin研で開発した消化酵素の活性評価系を明治大学でも立ち上げる。
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Causes of Carryover |
次年度以降に必要不可欠と見込まれる消耗品等として活用するため。
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