2022 Fiscal Year Research-status Report
Swine PathoScan法を用いたタイ・ベトナムでの豚感染症の網羅的解析
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22KK0096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 一路 京都大学, 医学研究科, 教授 (70294113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠矢 真理 順天堂大学, 医学部, 助教 (20804694)
関崎 勉 京都大学, 医学研究科, 研究員 (70355163)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | ブタレンサ球菌 / Swine PathoScan法 / ファージディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
養豚現場における感染実態の把握は、畜産業において非常に重要な課題である。個々の病原体の検出や、血清を用いた感染歴の検出については、これまでに数多くの方法が考案され臨床の現場で使用されている。ただし、これらは個別の病原体に特化した検出方法であり、感染症の全体像、すなわち、「その動物がこれまで(もしくは現在)どのような感染症に罹患した(している)のか」を総括的に判断することは困難である。豚の病原体の検出については、細菌であれば培養検査による細菌学的及び生化学的性状試験やPCR法による遺伝子検出と型別、ウイルスであれば、PCR法やRT-PCR法、あるいは血清を用いたELISA法などが用いられている。これらの方法は、①個別の病原体を高感度に検出することが可能であるが、感染症の全体像を把握することは難しい、②コスト面からも全ての病原体に対して検査はできない、③感染の急性期で病原体が患畜に存在している場合は検出が可能であるが、すでに症状が消退している場合には、過去の感染歴を類推することは病原体検出法では不可能である、と主に三つの問題が挙げられる。また、血清診断ではELISA法やラテックス凝集反応法、ゲル内沈降反応法等が用いられているが、個別の抗原により反応性が異なり、個々の病原体に対して別々の検査を行う必要がある。そこで現在、我々は上述の問題を解決するために、家畜伝染病、届出伝染病に含まれる病原体の感染履歴を網羅的に定量化が可能なSwine PathoScan法の開発を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
M13ファージを用いて現在Swine PathoScan法として、その開発を進めている。現在、家畜伝染病と届出伝染病に含まれる病原体のウイルス20種、細菌5種、寄生虫1種についてのファージライブラリーの作製は終了しており、予備実験でも10ulの豚血清であっても検出できることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
タイ・ベトナムおよび日本の養豚場から各生育ステージ(授乳期、ほ乳期、生育期)の豚より血液を採取する。(順大・遠矢、 京大・関崎)。タイ・ベトナムでは、Dr. Meekhanon, Dr. Nguyenの協力を仰ぎ、各地の農場試験所を介して、農場に赴いて血液サンプルを採取する。また、聞き取り調査によりワクチンや飼料を用いた抗菌剤の使用についても情報を収集する。血液サンプルは、直接は日本国内に持ち込めないため、研究協力者の所属機関であるタイ・カセサート大学獣医学部、ベトナム・ノンラム大学獣医学部で処理を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度内に訪ベトナム・訪タイを予定していたが、現地の農場でのアフリカ豚熱(ASFV)の流行により、取りやめたために次年度使用額が生じた。2023年度に渡航する際に使用を予定している。
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Research Products
(22 results)