2022 Fiscal Year Research-status Report
栽培化は種子微生物叢をどう変化させたか:東アジア起源のダイズを材料とした検討
Project/Area Number |
22KK0104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 章子 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (30361306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 沙央里 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (10877319)
潮 雅之 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40722814)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | 栽培化 / 微生物 / 細菌 / ダイズ / ツルマメ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ツルマメ及びダイズの種子微生物叢を分析するための材料・方法を検討すること、研究体制や採集地を検討・確認することを目的とした。 予備解析を行うため、滋賀県内の畑地2箇所で育ったダイズを、乾燥後、鞘に入った状態で生産者から提供を受けた。また、京都府および滋賀県内のいくつかの候補地でツルマメの生息地の探索を行い、滋賀県草津市・京都市においてツルマメを採集した。京都府で見られた生息地では種子が散布された後だったものの、滋賀県の生息地では十分量のサンプルを得ることができた。これらのサンプルを蒸留水に浸し柔らかくしたあとパワーマッシャーで粉砕し、濃度を変えた懸濁液を塗布したR2A寒天培地を28度の培養器の中に1週間おいて細菌の培養を試みた。色や形態で識別可能な多数のコロニーを得ることができ、ダイズ・ツルマメ両方ともに多くの培養可能な細菌を含んでいること、細菌叢を十分分析できそうであることを確認した。 さらに、ダイズ・ツルマメからの微生物DNAの抽出について予備実験を行った。ダイズ及びツルマメを、パワーマッシャーSPを用いて粉砕し、キアゲンのDNeasy PowerSoil Proのキットを用いて微生物DNAを抽出した。抽出後サンプルは-20度で保存した。これらのサンプルは、2023年度に細菌特異的に増幅できる335F/796Rプライマーペアを用いてイルミナNova Seqのペアエンド・アンプリコンシーケンスを行い、微生物叢を特定する予定にしている。 そのほか、分担者・大学院生1名が香港の共同研究者のもとを訪れ、実験設備の確認・研究打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
材料であるダイズ・ツルマメの微生物叢を解析する方法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、ダイズ及びダイズの祖先種ツルマメを材料に、栽培化による遺伝的変化が種子微生物叢をどう変化させたのか検討することを目的としている。植物根圏の微生物叢は、多くが土壌から取り込まれ環境の影響を受けやすく、また成長段階でも大きく変化するので、植物の栽培化の影響を評価しにくい。一方、本研究で着目する種子微生物叢は、根圏のものと比べ単純で時間変化が少なく環境の影響も受けにくいという利点がある。さらに本研究では、中国・韓国・日本の複数地点でツルマメ、ダイズ種子を採集し、多地点で並行してみられる種子微生物叢の野生種と栽培種の違いを検討できる。 2023年度は昨年度訪れることのできなかった韓国を訪れ、共同研究者と打ち合わせを行うとともに、中国・韓国・日本のそれぞれ複数調査地においてツルマメ・ダイズを採集し、微生物DNAの抽出サンプルとする。また、335F/796Rプライマーペアを用いてイルミナNova Seqのペアエンド・アンプリコンシーケンスを行い、微生物叢を特定する。特に、地域や物理的距離と栽培・野生種の違いのどちらが微生物叢をより説明できるのか、また栽培種、野生種それぞれを特徴付けるような微生物群はあるのかに着目する。同時に、同じサンプルから寒天培地を用いて細菌の分離を試み、栽培種あるいは野生種を特徴づける細菌分類群が単離できればそれを保存系統としてストックする。
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Causes of Carryover |
研究室で保管されていた試薬・消耗品を使用することができたため、培養やDNA抽出の消耗品を購入しなかったため。
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