2022 Fiscal Year Research-status Report
集団的リプログラミングとin-silico/ex-vivo統合環境によるバイオ人工肺の開発
Project/Area Number |
22KK0132
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 隆哉 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (80611996)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (20773758)
鎌田 悟史 東北大学, 加齢医学研究所, 分野研究員 (40914990)
大石 久 東北大学, 大学病院, 講師 (60451580)
|
Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2027-03-31
|
Keywords | mRNAリプログラミング / 幹細胞の多様性 / 人工臓器 / 組織工学 / 呼吸器の再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工的前駆細胞開発を行った。ヒト初代培養細胞を用い、 いわゆる山中4因子を含む初期化リプログラミング因子をコードしたmRNAを細胞に導入した。17日かけて極めて増殖能力の高い細胞群が出現した。ほぼ同じプロトコールを用いて血管内皮細胞と気道上皮細胞の両方からコロニー形成能の高い前駆細胞様細胞が分離された。しかしこれらの細胞は遺伝子発現としてはNanogまで発現しており、かなりiPS細胞に近い状態であることが伺われた。 問題点として細胞生存率の低下が挙げられる。これを克服するための薬剤やフィーダー細胞との共培養を行い、ある程度の成果を得ている。また分化度を確認するために(核内)タンパク質Nanog/Oct4の発現を確認するための免疫染色プロトコルを調整した。誘導プロトコルについてもmRNAの作用時間をさらに下げて細胞増殖と分化度の維持が適切にコントロールできるか、検討している。また培地の調製も検討している。培地は予想よりも大きな影響を与えていることがわかり、いくつかの混合パターンを検討している。 本研究のユニークな点は複数系統の細胞を出発材料として、統一的な方法により多様性をもった人工的前駆細胞集団を作り出し、それを臓器再生に用いることである。一つの多能性幹細胞からどれだけ多くの成熟細胞を作成するかというこれまでの視点から、成熟細胞の多様性を利用して増殖能と組織特異性を保った前駆細胞を利用する点で独自性がある。また安全性が高いmRNAを利用することにより、臨床展開がスムーズにできると考えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトコルの開発は概ね順調に行われている。バイオリアクターの開発はすでに終了しているが、適切な細胞数導入のためのパラメーターを調整している。
|
Strategy for Future Research Activity |
トロント大学と定期的にミーティングを行っている。トロント大学では過去に私が作成したマウス肺血管モデルを使用して、細胞注入のシミュレーションを行っている。これによって血管内皮の注入数の最適化を図る。 2023年度は本年度までに開発された初期プロトコルの最適化を図る。より短いmRNA暴露時間・細胞密度の調整・培地調整により生存率の高い人工前駆細胞の作成を図る。
|
Causes of Carryover |
使用を予定していたmRNAトランスフェクションキットおよびmRNAに研究室内在庫が豊富にあり、購入を要しなかったため。次年度には購入し、同じ研究を進める予定である。
|
-
-
[Presentation] mRNAトランスフェクショ ンによる誘導性ヒト血管内皮前駆細胞の作成2023
Author(s)
冨山史子, 鈴木隆哉, 鈴木有容, 村井翔, 宇井雅博, 小野寺賢, 東郷威男, 渡邉龍秋, 渡辺有 為, 野津田泰嗣, 平間崇, 大石久, 新井川 弘道, 野田雅史, 岡田克典
Organizer
第39回日本肺および心肺移植研究会
-