2022 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of nutrient cycle in the Upper Gulf of Thailand toward resolving eutrophication
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22KK0167
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森本 昭彦 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80301323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三野 義尚 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (20362303)
北辻 さほ 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (30638713)
LUANG・ON JUTARAK 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), ポストドクトラル研究員 (40968690)
多田 邦尚 香川大学, 農学部, 教授 (80207042)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 栄養塩循環 / 北部タイランド湾 / 緑夜光虫 / 生態系モデル / 富栄養化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度に4回実施予定の船舶観測の具体的な日程、サンプリング計画、現地でのサンプル分析や物品の輸送など、日本とタイの研究者が愛媛大学において対面で打ち合わせを行い、詳細計画を策定した。さらに、2023年3月には現地を訪問し、船舶観測を実施するカセサート大学の調査船を視察し、設備の確認と堆積物コアを採取する方法について船員と打合せを行った。また、現地で使用する大型の採泥器と水質を測定する機器の輸送を完了させた。 本研究で開発する3次元の緑夜光虫赤潮モデルの準備とし、瀬戸内海を対象に構築していた生態系モデルをベースに、北部タイランド湾を想定したボックスモデルを作成し、このモデルの中に緑夜光虫を変数として組み込み再現性のテストを行った。モデルは正常に動作し、緑夜光虫のおおよその季節変化を計算できることが確認できた。来年度得られる予定のデータによりモデルの修正を行う。3次元物理モデルについては、モデル地形の作成と境界条件ととなる、風、海面熱フラックス、河川流量等のデータの入手方法を確認し、境界条件となるデータが入手出来次第計算を開始できる状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値モデルの基礎となる部分は順調に準備できており、2023年度に4回実施予定の船舶観測についても、船との調整、人員の配置、使用機器の輸送等、必要な調整はすべて完了しており、2023年5, 8月の具体的な調査日程も確定できている。
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Strategy for Future Research Activity |
北部タイランド湾の水塊特性、栄養塩濃度、植物プランクトン量、海底堆積物からの栄養塩溶出量の季節変化を把握するため、2023年5月, 8月, 10月, 2024年の2月の計4回、北部タイランド湾全域をカバーする観測点において3日間の船舶観測を実施する。さらに、北部タイランド湾に流入する5つの河川において、月に1回の頻度で採水を行い栄養塩濃度を測定することで、河川から流入する栄養塩フラックスの月変化を明らかにする。さらに、このデータは数値モデルの境界条件としても使用する。緑夜光虫の時空間変化を把握するため、海色衛星から緑夜光虫やその他の植物プランクトンを識別できるアルゴリズムを完成させる。アルゴリズム開発に必要なデータは上記の年4回の船舶観測時に収集する。 北部タイランド湾では雨季に大規模な貧酸素水塊が形成される。この貧酸素水塊の形成に緑夜光虫が関わっていると予想している。どの程度の緑夜光虫が海底に沈降するのかを明らかにするため、北部タイランド湾北東海域に係留施設をつくり、植物プランクトン量や溶存酸素量を測定すると同時に、セジメントトラップを係留し、緑夜光虫の沈降フラックスを観測により明らかにする。この観測は、緑夜光虫赤潮がよく発生する雨季に1カ月間集中的に行う。 緑夜光虫を対象にしたモデルを作るため、過去に観測を実施した2014-2015年を対象とした3次元の物理―低次生態系を作成し、観測データとの比較によりモデルの再現性を確認する。さらに、海色衛星から見積もられる2014-2015の緑夜光虫の分布とモデル結果を比較し、モデルの開発を進める。
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Causes of Carryover |
申請時の予定では、2023年2月に船舶観測を実施する予定にしていたが、堆積物コア採取のための機器の納品時期と、それをタイへ輸送するのに時間を要することと、傭船予定のタイの調査船の改修工事の予定があったことから、船舶観測の開始時期を2023年5月に変更したため、傭船費や船舶観測のための海外旅費等を次年度に使用することとなった。研究計画としては各季節のデータを取得することが重要であり、2月のデータは2024年2月に船舶観測を行い取得する。
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