2022 Fiscal Year Research-status Report
Monitoring the prevalence of pathogens in the aquatic environment of the Kathmandu Valley using wastewater-based epidemiology and microbial source tracking approaches
Project/Area Number |
22KK0173
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00401141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清 和成 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80324177)
古川 隼士 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (90632729)
田中 靖浩 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50377587)
亀井 樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80792168)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | 健康関連微生物 / 下水疫学調査 / 微生物起源解析 / カトマンズ盆地 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、カウンターパートのSarmila Tandukar研究員(ネパール政策研究所)の協力により、カトマンズ盆地内の2ヶ所の下水処理場において流入水と放流水を定期的に採取した。研究協力者として参画している博士留学生が2023年2月に現地に渡航し、採取した試料中の微生物の濃縮作業等を実施した。不活化処理を施して国内に輸送した試料から新型コロナウイルス、A型インフルエンザウイルスおよびRSウイルスの遺伝子をリアルタイムPCR法によって測定した。 A下水処理場からの新型コロナウイルス遺伝子の検出率は68%、A型インフルエンザウイルス遺伝子の検出率は60%、RSウイルス遺伝子の検出率は16%であった。また、B下水処理場からの新型コロナウイルス遺伝子の検出率は68%、A型インフルエンザウイルス遺伝子の検出率は19%であったが、RSウイルス遺伝子はいずれの試料からも検出されなかった。流入水と放流水の間でウイルス遺伝子の濃度に大きな差はなく、下水処理場において十分なウイルスの低減効果が得られていないことが分かった。これらの呼吸器系ウイルスに加え、蚊媒介性感染症への下水疫学調査の適用可能性を検討するため、デングウイルス遺伝子の検出も試みたが、いずれの試料からも検出されなかった。 今年度の研究により、新型コロナウイルス感染症のみならず、A型インフルエンザやRSウイルス感染症が現地において流行している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カウンターパートの協力により、現地の2ヶ所の下水処理場における採水調査を開始し、採取した試料の最適な輸送方法を確立した上で、日本でのウイルス遺伝子の測定作業を行うことができたことから、研究は順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、研究代表者と研究分担者が渡航して現地調査を実施し、下水に加え、河川水や地下水の採取を計画している。採取した試料は、ウイルスのみならず、病原細菌や薬剤耐性遺伝子の測定に供する予定である。
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Causes of Carryover |
代表者および分担者自身が渡航しての現地調査を計画していたが、学内業務等により日程が確保できなかったため、代表者が指導するネパール人博士留学生1名を代理で派遣した。当該学生の旅費は別経費で確保できたことから、旅費を支出することなく現地調査を実施することができた。今回生じた次年度使用額は、2023年度に実施予定の現地調査において、測定試料数を増やすことや渡航期間を長くすること等の調査内容を充実させるために活用する。
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