2013 Fiscal Year Annual Research Report
不揮発性および再構成可能な機能をもつ半導体材料とデバイスの研究開発
Project/Area Number |
23000010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 雅明 東京大学, 工学系研究科, 教授 (30192636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 忍 東京大学, 工学系研究科, 准教授 (20401143)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | スピン / スピントロニクス / 半導体 / 強磁性半導体 / 分子線エピタキシー / 共鳴トンネル / 量子井戸 / LED |
Research Abstract |
半導体材料あるいはデバイス構造中に磁性元素や強磁性材料を構成要素として取り込み、キャリアの電荷輸送に加えてスピン自由度をも活用する新しい機能材料やデバイスを作ることを目的とした研究を行っている。本年度は、H23年度末に導入し、前年度(H24年度)に立ち上げ成長を開始したIII-V族磁性半導体・磁性金属エピタキシャル成長用MBE装置を用いて、不揮発性および再構成可能な機能をもつデバイス作製のための材料形成および物性機能の制御を目指した基礎研究と、デバイス応用に向けた研究を行った。主な成果は下記の通りである。 (1)前年度に初めてn型電子誘起強磁性半導体(In,Fe)Asの作製に成功したが、その研究を展開・発展させ、(ln,Fe)Asの重要な基本的物性を明らかにした:i)電子濃度1x10^<-19>cm^<-3>程度以上で強磁性を示す電子誘起の強磁性半導体である。ii)伝導帯にフェルミ準位が存在し電子キャリアは伝導帯にある。iii)電子の有効質量は電子濃度に依存し(0.03m_0-0.17m_0)InAsと同程度に小さい。iv)s-d交換相互作用がきわめて大きい。 (2)InAs/(In,Fe)As/InAsの三層からなる表面量子井戸構造を作製し、量子サイズ効果を観測するとともに、エッチングによって表面のInAs膜厚を変えることにより、波動関数を動かして強磁性転移温度を制御することにも成功した。強磁性半導体へテロ構造で波動関数工学が可能であることを初めて示した。 (3)III-V族強磁性半導体(Ga,Mn)As量子井戸における共鳴準位を系統的に観測・解析する共鳴トンネル分光法を確立し、(Ga,Mn)Asのフェルミ準位E_Fは従来の通説とは異なり常に禁制帯の不純物バンド中に存在すること、さらに光電子分光を用いて不純物バンドと価電子帯を観測し、われわれの描像が正しいこと、不純物バンドが強磁性発現の起源として重要であることを示した。 (4)IV族べ一ス磁性半導体として有望なFeドープGe薄膜の成長を行い、電気伝導と磁性を詳細に評価しつつアニール温度依存性を調べた。その結果、単一の強磁性半導体相を保ちつつ220Kという今までにない高い強磁性転移温度Tcを実現した. (5)Mnを1%程度添加したGaAs:Mn層およびSi:Mn層をp型電極とした発光ダイオード(LED)を作製し、室温で可視光の電界発光を観測した。これは遷移金属をドープしたIII-V族およびIV族半導体で初めて観測された電界発光の結果であり、磁性半導体のバンド構造と電子状態の理解に貢献するとともに、将来の室温発光デバイスへの応用が期待できる。 (6)Fe電極とSiチャネルをもつマルチターミナルデバイス構造において、FeからSiへのスピン偏極した電子の注入をHanle効果により観測し、三端子測定で観測される巨大なHanle効果シグナルの起源を明らかにした。また、Si-MOSFETと強磁性トンネル接合を組合わせた疑似スピンMOSFET(PS-MOSFET)の作製プロセスを確立し、PS-MOSFETの基本特性を明らかにした。 (7)American Institute of Physics(AIP)が発行するJournal of Applied Physics誌のinvited paper(review)部門が独立したApplied Physics Reviews誌が2014年1月に創刊されたが、その創刊号の招待論文"Recent progress in III-V based ferromagnetic semiconductors : Bandstructure, fermi leve1, and tunneling transport"を執筆し掲載された。[Applied Physics Reviews Vol.1, pp. 011102/1-26(2014)].
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、III-V族磁性半導体、磁性金属エピタキシャル成長用MBE装置を用いて最適化を行い、これまでよりもさらに良質のスピントロニクス材料を作製する。III-V族およびIV族べースの磁性半導体、半導体と整合性の良い強磁性金属とそのヘテロ構造のエピタキシャル成長による形成、評価、物性制御の研究でそれぞれ成果を挙げているので、それらをさらに深化させ、デバイス機能の発現と実証につなげる。特にn型強磁性半導体とそのヘテロ構造の開発に取り組み、デバイス構造の作製も行う。また、最近、遷移金属をドープしたHI-V族およびIV族半導体で世界で初めて室温での可視光領域電界発光を観測したので、これを用いて磁性半導体のバンド構造と電子状態の理解を深めるとともに、将来の室温発光デバイスへの応用を検討したい。いまのところ計画を遂行する上での大きな問題点は特に見あたらない。
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Research Products
(62 results)
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[Journal Article] Electronic Excitations of Magnetic Impurity State in Diluted Magnetic Semiconductor (Ga,Mn)As2014
Author(s)
M. Kobayashi, H. Niwa, Y. Takeda, A. Fujimori, Y. Senba, H. Ohashi, A. Tanaka, S. Ohya, P. N. Hai, M. Tanaka, Y. Harada, and M. Oshima
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Journal Title
Physical Review Letters
Volume: 112
Pages: 107203/1-4
DOI
URL
Peer Reviewed
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[Presentation] 磁性半導体(Ga, Mn)Asにおける強磁性不純物バンドの解明2014
Author(s)
小林正起,宗田伊里也,竹田幸治,原田慈久,藤森淳,Juraj Krempasky, Thorsten Schmitt, 大矢忍,田中雅明,尾嶋正治,Vladim ir N. Strocov
Organizer
第61回応用物理学関係連合講演会
Place of Presentation
青山学院大学相模原キャンパス(神奈川県相模原市)
Year and Date
2014-03-19
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[Presentation] XMCD measurements of ferromagnetic semiconductor (In,Fe)As2013
Author(s)
S. Sakamoto, M. Kobayashi, G. Shibata, Y. Takahashi, A. Fujimori, T. Koide, Y. Takeda, Y. Saitoh, H. Yamagami, L. D. Anh, P. N. Hai, and M. Tanaka
Organizer
第18回半導体スピン工学の基礎と応用(PASPS-18)
Place of Presentation
大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市)
Year and Date
2013-12-09
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[Presentation] Fabrication and characterization of pseudo-spin-MOSFETs using a multi-project CMOS wafer2013
Author(s)
R. Nakane, Y. Shuto, H. Sukegawa, Z. C. Wen, S. Yamamoto, S. Mitani, M. Tanaka, K. Inomata, and S. Sugahara
Organizer
58th Annual Magnetism and Magnetic Materials (MMM) Conference
Place of Presentation
the Sheraton Denver Downtown Hotel (Denver, Colorado, USA)
Year and Date
2013-11-08
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[Presentation] 新磁性半導体2013
Author(s)
ファムナムハイ
Organizer
秋のスピントロニクス特別研究会
Place of Presentation
ラフォーレ蔵王(宮城県刈田郡蔵王町)
Year and Date
2013-10-17
Invited
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[Presentation] 強磁性半導体(InFe)Asの潮CD測定2013
Author(s)
坂本祥哉,芝田悟朗,高橋文雄,藤森淳,小出常晴,小林正起,竹田幸治,山上浩志,斎藤祐児,Le Duc Anh,Pham Nam Hai,田中雅明
Organizer
2013年秋季耳本物理学会
Place of Presentation
徳島大学常三島キヤンパス(徳島県徳島市)
Year and Date
2013-09-26
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[Presentation] Unveiling the Impurity Band Inducing Ferromagnetism in Magnetic Semiconductor (Ga,Mn)As2013
Author(s)
M. Kobayashi, I. Muneta, T. Schmitt, J. Krempasky, Y. Takeda, Y. Harada, A. Fujimori, S. Ohya, M. Tanaka, M. Oshima, an d V. N. Strocov
Organizer
International Conference on Light and Particle Beams in Materials Science 2013
Place of Presentation
つくば国際会議場(茨城県つくば市)
Year and Date
2013-08-30
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