2013 Fiscal Year Annual Research Report
キネシンモーター分子群の機能と制御の統合生物学的研究
Project/Area Number |
23000013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣川 信隆 東京大学, 医学系研究科, 特任教授 (20010085)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 分子モーター / KIFs / 細胞内輸送 / 微小管 / クライオ電子顕微鏡 / 高脂血症 |
Research Abstract |
1. KIF13Aは多くの神経細胞に発現し、そのFHA領域を介して直接、セロトニン受容体5HT1ARの細胞質側ループに結合し、受容体を含む小胞を細胞中心部から細胞膜へ輸送する。KIF13A遺伝子欠損マウスでは其の輸送が障害され、神経細胞表面の5HT1ARが著名に減少し、KIF13A・KOマウスは、高度の不安症状を呈した。このマウスは、不安神経症や鬱病のモデルとなり、KIF13Aはセロトニン受容体を細胞膜まで輸送し、セロトニン神経系の機能発現にとり基本的な役割を果たす事を解明した。(Zhou et al. Cell Rep, 2013) 2. 微小管は軸索輸送のレールとして働き、それを構成するβtubulinのmutationは中枢神経系で神経変性症を引き起こす。この原因が、これらのmutationがβtubulinのH12 helixにあり、微小管表面のnegative chargeを変化させ、KIFsと微小管の結合を阻害する事による事を解明した。(Niwa et al. EMBO J, 2013) 3. KIF4のAMPPNP状態の構造を1.7 angstromの分解能で解き、すでに解いたKIF1Aの構造と合わせてKIFの共通な作動機構を解明した。(Chang et al. J. Mol Biol. 2013) 4. KIF13Bは肝臓に多く、血管に面した肝細胞膜上に局在し、KIF13B欠損マウスは血中コレステロールが高く、KIF13Bを欠損した細胞ではLDLの取り込みが低下した。KIF13Bは、LRP1-hDLG1-KIF13B-utrophin-caveolae結合を通して、血中コレステロール(LDLやHDL)の膜レセプターであるLRP1をカベオラにリクルートし、血中コレステロール(LDLやHDL)のカベオラを介した細胞内取り込みを促進し其の血中濃度を重要に制御する事を解明した。(Kanai et al. J. Cell Biol, 2014) 5. Cryo-EMで微小管とモーター蛋白複合体の構造解析の新しい方法論を確立し、8.1Åの高分解能で構造解析を可能にし, KIF5がGTP型微小管により強く結合する構造的基盤が、モーター領域のLoop 11にある事を示し、KIF5モーター領域がGTP型微小管の多い軸索方向に走り易い現象の機構を解明した。さらにキネシンが結合する事により微小管自身の構造も変化する事を示し、微小管とモーター分子相互が構造変化しながら、同じレールの上をより走り易くする現象を解明した。(Morikawa et al. Dev Cell, (in press) 2014)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25年度の研究実施計画に挙げたすべての項目について予定通りの進展を見ておりさらに加えて、微小管とKIFモーター領域複合体の高分解能クライオ電顕で単粒子法を基とした新しい解析法を開発し、それを用いて、GTP型微小管とGDP型微小管との複合体の差を解明し、なぜKIF5モーター領域が、軸索(GTP型微小管が多い)方向に行きやすいのかの機構を解く事が出来た。KIF13Bについては、KIF13B・KOマウスが、高脂血症となり、それは、KIF13Bが毛細血管に面する肝細胞膜直下でLRP1-hDLG1-KIF13B-ytrophin-caveolaeの複合体を形成し、LRP1とCaveolaeを結合する事により、LDLの取り込みを亢進する重要な役割を持つためである事を解明した。それによりKIF13BがカベオラLDLのendocytosisを介して、血中のコレステロール等の脂質の濃度の制御をしているという予期せぬ重要な発見をした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に発展しているので予定通り推進する。 構造生物学の方法論として、X-線結晶解析、クライオ電子顕微鏡に加えて、NMRも併用する事とした。
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Research Products
(23 results)