2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23000014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 近 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 治夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (40292726)
三村 久敏 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30463904)
金井 隆太 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (50598472)
椛島 佳樹 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (00580573)
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Project Period (FY) |
2013 – 2016
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Keywords | イオンポンプ / 膜蛋白質 / 結晶解析 / エネルギー変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、蛋白大量生産系のトラブル(ウィルス作製に使用した細胞の汚染)により遅れた研究(具体的には、もっとも普遍的なカルシウムポンプであるSERCA2bとマラリア原虫のカルシウムポンプとみなされているPfATP6の大量生産・精製と結晶化)を、半年間の延長期間中に遂行することを計画し認められたものである。SERCA2bは標準的な10本の膜貫通ヘリックスを持つSERCA2aに一本の膜貫通ヘリックスが付加されて居る以外は同一のCa^2+-ATPaseであるが、SERCA2aに比べて極めて不安定であり、適した界面活性剤も異なっていた。現在、大量生産系の確立に加え、複数の状態での予備的結晶化に成功した結果、11本目の膜貫通ヘリックスの所在を確認するところまで出来た。PfATP6に関しても、大量生産・精製には成功し、薬剤による活性阻害効果の検討を行なった。 また、X線溶媒コントラスト変調法による脂質二重膜の可視化に成功し、Nature誌にArticleとして投稿し受理された。この研究の結果、Ca^<2+>-ATPaseの膜貫通ヘリックスに接する40個以上の燐脂質を初めて解像でき、脂質二重膜の膜厚やCa^<2+>-ATPase膜貫通領域の面積が状態によって変化すること、Trpは膜に対する「浮き」として働くこと、Lys/Argは膜貫通ヘリックスの動きに追従すること、ある種のArgは燐脂質をコンフォメーション変化のスイッチとして利用することなど、膜蛋白質の構造変化の理解に大きな変革をもたらす情報が明らかになった。
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