2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウスを用いたゲノム高度可塑化因子の同定とその応用
Project/Area Number |
23220011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小倉 淳郎 独立行政法人理化学研究所, 遺伝工学基盤技術室, 室長 (20194524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石野 史敏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60159754)
阿部 訓也 独立行政法人理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発チーム, チームリーダー (40240915)
若菜 茂晴 独立行政法人理化学研究所, マウス表現型解析開発チーム, チームリーダー (90192434)
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Keywords | ゲノム再プログラム化 / ゲノム可塑性 / マウス / ES細胞 / 核移植クローン |
Research Abstract |
本研究は、マウスの特定系統(129系)の核ゲノム中に存在されると推定される、自身のゲノムに高度な可塑性を獲得させ、正確なゲノム再プログラム化をもたらす因子を同定しようとするものである。その目的のために、初年度である23年度は、リコンビナント近交系を用いた体細胞核移植、すなわち、C57BL/6系統(B6)と129系統間のリコンビナント近交系(ゲノム上の特定の領域が2つの系統のいずれかのホモになっている近交系のセットのマウスを用いて、体細胞(卵丘細胞)クローンを行った。得られた単一クローン胚盤胞の網羅的遺伝子発現パターンをマイクロアレイを用いて解析し、明らかにB6パターンを呈する系統を同定できた。しかし、元の129系と全く同じ発現パターンを示す系統は無かった。さらに、胚移植を行い、クローン産子まで発生させて、胎盤の表現型を重さおよび組織学的に観察した。近交系はクローン産子を得ることは極めて難しいため、4系統の胎盤数個分を解析できたのみであった。そこで、元の129系統とのF1を作出し、全系統の核移植クローン(卵丘細胞および新生仔セルトリ細胞)を実施した。このF1は、目的とする129系の領域をホモで持つはずである。すべての系統でクローン産子を得られ、少なくとも1つの系統で、安定して正常胎盤に近い表現型を示すことを見出した。その組織は、迷路部の乱れが少なく、129系統に近いものであった。24年度は、さらに解析数を増やして、これらリコンビナント近交系の多型マップを用いて目的とする遺伝子領域を同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リコンビナント近交系の体細胞核移植クローン産子の作出は困難が予測されたが、元系統である129系統とのF1を用いることにより、クローン産子・胎盤が順調に得られるようになった。これは、今後の解析を促進すると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
リコンビナント近交系と元129系統のF1個体を用いることにより、解析が進むと期待されるが、胎盤の表現型のみで今後のゲノム領域の絞り込みを進めるのは、やや危険が伴うと考えられる。24年度には、これまでの胎盤表現型のデータ蓄積も進める一方で、それ以外の指標も検討をする。また、2つ以上のファクターが関連することが予想される場合は、胎盤の表現型等を数値化し、分担研究者の協力を得て、QTLを進める予定である。
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Research Products
(6 results)