2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウスを用いたゲノム高度可塑化因子の同定とその応用
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23220011
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小倉 淳郎 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 室長 (20194524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 訓也 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, チームリーダー (40240915)
石野 史敏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60159754)
若菜 茂晴 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, チームリーダー (90192434)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゲノム再プログラム化 / マウス / ゲノム可塑性 / 核移植クローン / ES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、129系統マウスの体細胞クローン産子出生率が高いことと、胎盤重量が小さい(正常)という特徴的な表現型を利用して、C57BL/6 (B6) x 129 系統のリコンビナント近交系セットを用いた体細胞クローン実験結果から、129系統マウスのゲノム可塑性因子をゲノム上の4カ所(4染色体)の領域に絞り込んだ。そこで、これらの染色体を B6 あるいは 129系統に置換した、いわゆるコンソミック系統を利用して、さらに染色体への絞り込みを行った。米国から導入した、開発途上のコンソミック系統の多型解析を実施し、選抜交配および顕微授精を重ねることにより、これまでに3染色体のコンソミック系統個体を作出した。これらの体細胞クローンを行ったところ、1染色体のみについて、term conceptus (しかしながら placenta-only)数例を得た。しかしながら、2染色体については、placenta-onlyも得られなかった。しかも、これらの染色体については、B6に当該染色体を置き換え、129背景にした時に placenta-only が得られた。もともと近交系の体細胞核移植クローンはきわめて困難であることから、さらに例数を増やして、染色体の絞り込みを行う予定である。特に、placenta-onlyを得られた染色体については、集中的に実施する。一方では、候補領域が4カ所に限定されていることから、B6 および129当該領域のゲノムシーケンスを実施した。現在、そのデータを解析中である。このデータを元に、reverse genetics 的な手法で候補領域および遺伝子を絞り込んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度から25年度の間、B6 x 129 リコンビナント近交系を用いた核移植クローン実験を100回以上積み重ねることにより、129系統ゲノムに隠されている高度可塑性因子の責任領域を4領域にまで狭めることに成功した。これらのうち、8番染色体、19番染色体が有力であり、これに5番染色体が続く。129系統と他の系統との間には、このゲノム可塑性とは別に無数の多型が全ゲノム上に分布しているため、この4カ所に絞り込めたことは、きわめて大きな成果であると考える。すなわち、代表研究者の小倉研究室の高度なマウス核移植クローン技術と、分担研究者である阿部研究室の精密なゲノム解析技術の組み合わせにより初めて達成できたといえる。ここから責任領域を絞り込むために、2つの計画を並行して進行させている。すなわち、一つは B6 x 129 コンソミック系統を用いた体細胞核移植クローン実験により、染色体を絞り込もうとするものである。もう一つは、この4カ所は、それぞれ 1.8-5.2 Mbpとごく限られた領域なので、そこをシークエンスして、B6 と 129の多型を明らかにし、可能性のある遺伝子で絞り込む方法である。前者は、26年度中に、コンソミックがまだ不完全であったマウス系統を米国から輸入し、コンソミック系統としてほぼ確立できた。まだ回数は少ないが、核移植クローンを実施し、1染色体については、B6背景の129コンソミック系統でplacenta-only が獲得でき、本染色体が有力であると考えている。実際に、その領域中に、改変によって、多くの遺伝子のプロモーターが高メチル化することが知られている遺伝子が含まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度までの実験を継続する。すなわち、コンソミック系統マウスのクローン実験を続けるとともに、ゲノムシークエンスにより明らかになった B6系統と129系統間の多型を利用した解析を行うという、2つの実験を並行して進める。特に placenta-only が得られた染色体については、例数を増やすとともに、可能性の高い遺伝子についてはシークエンスを行い、B6 と 129 間の多型解析を行う。領域と遺伝子が絞れたところで、BAC transgenesis を行い、体細胞核移植クローンの産子作出効率およびES細胞樹立の効率の解析を実施する。現在、候補と考えている遺伝子は、種間での保存度が高いことから、他の動物への応用も期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Generation of cloned mice from adult neurons by direct nuclear transfer.2015
Author(s)
Mizutani E, Oikawa M, Kassai H, Inoue K, Shiura H, Hirasawa R, Kamimura S, Matoba S, Ogonuki N, Nagatomo H, Abe K, Wakayama T, Aiba A, Ogura A
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Journal Title
Biology of Reproduction
Volume: 92
Pages: 81, 1-11
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Devising assisted reproductive technologies for wild-derived strains of mice: 37 strains from five subspecies of Mus musculus.2014
Author(s)
Mochida K, Hasegawa A, Otaka N, Hama D, Furuya T, Yamaguchi M, Ichikawa E, Ijuin M, Taguma K, Hashimoto M, Takashima R, Kadota M, Hiraiwa N, Mekada K, Yoshiki A, Ogura A
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Journal Title
PLoS One
Volume: 9
Pages: e114305
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Establishment of paternal genomic imprinting in mouse prospermatogonia analyzed by nuclear transfer.2014
Author(s)
Kamimura S, Hatanaka, Y, Hirasawa,R Matsumoto K, Oikawa, M, Lee J, Matoba S, Mizutani E, Ogonuki N, Inoue K, Kohda T, Ishino F, Ogura A
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Journal Title
Biology of Reproduction
Volume: 91
Pages: 120, 1-11
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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