2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアのエアロゾル・雲・降水システムの観測・モデルによる統合的研究
Project/Area Number |
23221001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 豊 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20110752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹川 暢之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00324369)
小池 真 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00225343)
新野 宏 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (90272525)
高見 昭憲 独立行政法人国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 室長 (00262030)
大島 長 気象庁気象研究所, 環境応用気象部, 研究員 (50590064)
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Keywords | 気候変動 / 環境変動 / 環境分析 |
Research Abstract |
1) 新たな測定装置の開発・改良 :粒径60-1000 nmのエアロゾルの数濃度・粒径分布を最高1秒の時間分解能で測定可能なUltra-High Sensitivity Aerosol Spectrometer(UHSAS)を導入した。UHSASは地上観測用の測定器であるが、気圧変動環境において自動制御可能でかつ高精度な流量制御システムを導入し、高精度な航空機観測が可能になるようにハード・ソフトともに再構築した。また、粒径10 nm以下の粒子数濃度を測定するために、これまで開発した航空機搭載2ch粒子カウンタに新たに極微小粒子カウンタ (UCPC) を追加した。これらの装置の性能評価を実験室および航空機によるテスト観測によって行った。 2) 雨水中のBC濃度と粒径分布の測定 :雨水中のブラックカーボンエアロゾル(BC)の濃度を測定するために、超音波式ネビュライザーとSP2を組み合わせる独自の測定方法を確立した。この測定器を用いて、東京と辺戸で降水をサンプリングし、雨水中に含まれるBC濃度・粒径分布の測定を行った。降水イベント中に大気中と雨水中のBC濃度・粒径分布を同時に測定し、それらの時間変動について調べた。東京の観測では、雨の降り始めの最初の数分間の雨水に最も高濃度のBCが測定されることがわかった。沖縄では、雨水中の平均BC濃度は春季が最も高く、秋季が最も低いという季節変化が明らかになった。 3) 新粒子生成スキームの開発 :数値モデルにおけるエアロゾルの数濃度の表現を改善するために、新粒子(気体から生成される1 nm程度の粒子)の生成と成長を理論的に計算する領域3次元モデルを開発した。このモデルを北京域に適用し、2006年に行われた地上集中観測によって検証を行った。このモデルを東アジア域に適用し、A-FORCE航空機観測との比較・検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
航空機観測に向けたUHSASやUCPCなどの測定器の開発・改良を行い、航空機によるテスト観測によって装置の性能評価を実施した。また、降水中のBC濃度やその粒径分布を測定する装置を開発した。東京・沖縄での測定を実施し、大気中と雨水中のBC濃度の対応や時間変動を明らかにした。さらに、新粒子の生成と成長を理論的に計算する領域3次元モデルを開発し、これまでに行ってきた地上・航空機観測による検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年2~3月にエアロゾル・雲の航空機観測を黄海・東シナ海を中心に実施する。本観測に向けて測定器の開発・改良を進める。また、沖縄・福江島でエアロゾル地上観測を継続して実施する。エアロゾルの混合状態を表現した領域3次元数値モデルを開発し、これまでに行ってきた地上・航空機観測によって検証する。
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