2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23221007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福井 孝志 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (30240641)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 半導体ナノワイヤ / 発光ダイオード / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリーンギャップを埋める新しい緑色材料として、ウルツ鉱型構造を持つGaPが注目されている。そこで完全なウルツ鉱構造が得られているInPナノワイヤ側面に結晶構造を転写させることによりウルツ鉱構造のAlGaPシェル層を作製した。現在までWZ-InP/AlGaPのコアシェルナノワイヤのカソードルミネッセンスから、緑色発光(約2.3eV)が得られている。また、ウルツ鉱に転移しやすいAlInP系についてもInPコアに対してシェル成長を行い、X線回折、電子線回折からウルツ鉱構造を確認した。AlInP系は主に黄色発光領域に当たる。さらに、ウルツ鉱GaPの薄膜成長もウルツ鉱GaN基板を用いて試みた。その結果GaN(1100)面上のAlInP成長においては、X線回折から、ウルツ鉱による反射が観測されている。GaAs系ナノワイヤ太陽電池に関してはさらに、タンデム構造を目標に、多層構造の第2層目にあたるInGaAsの軸方向pn接合太陽電池を作製した。pn接合の形成はEBIC像から確認し、変換効率7.14%を得た。さらに、フレキシブル太陽電池を作製する目的で、PDMSを用いてナノワイヤを基板から剥離する技術を確立するとともに、基板の再利用も試みた。ナノワイヤトランジスタに関しては、シリコン基板に変わる将来型のIII=Vのnチャネル/Geのpチャネルからなる複合型CMOSを目指してGe基板上にIII-V族(主にInAs)ナノワイヤの結晶成長技術の確立を図った。さらにGe基板上にInAsナノワイヤトランジスタを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・結晶成長においては、当初基板として化合物半導体及びシリコンを計画していたが、シリコン基板に変わる将来型のIII-Vのnチャネル/Geのpチャネルからなる複合型CMOSを目指してGe基板上にIII-V族(主にInAs)ナノワイヤの結晶成長技術の確立を図った。ゲルマニウム表面の成長前の処理条件、ナノワイヤの成長初期のFME法の導入など結晶成長条件の最適化により、シリコン基板と同様の高均一なIII-V族半導体ナノワイヤの作製に成功した。 ・光デバイス応用では、当初のシリコン上のLEDに加えて、新たに「グリーンギャップ」を埋めるために、新緑色発光材料として結晶構造を人為的に閃亜鉛鉱からウルツ鉱に変えたGaPコアシェルナノワイヤを作製し、カソードルミネッセンスから緑色発光を確認した。さらに結晶成長が容易なAlInP系のウルツ鉱構造をシェル層として、InPウルツ鉱ナノワイヤコアの外壁に横方向成長させることに成功した。結晶構造は、X線回折、電子顕微鏡の回折像より確認した。 ・ナノワイヤ太陽電池では、InGaAsの軸方向pn接合太陽電池を作製し、変換効率7.14%を得た。さらに、PDMSを用いてナノワイヤを基板から剥離する技術を確立するとともに、基板の再利用も試みた。 ・ナノワイヤの電子デバイスに関しては、シリコンに加えゲルマニウム上の縦型ナノワイヤトランジスタの作製に成功した。 ・これらの成果は、6編の学術論文にまとめて対外発表を行うとともに、国際会議の招待講演も10件おこなって、研究成果の外部発信に努めた。さらに26年度は、特許出願も外国出願が4件で、産業財産権確保の面でも大きな成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
異種基板としてはシリコンばかりでなく、ゲルマニウム基板上へのナノワイヤの成長にも成功したが、これらの界面の原子構造及び、ナノワイヤとゲルマニウムとの間のバンド不連続などの基本的な性質を明らかにする。 発光素子応用では、緑色発光材料として、ナイトライド系に代わる、全く新しいウルツ鉱構造を持つGaP系のナノワイヤLEDを目指す。すでに低温ではあるが、カソードルミネッセンスで緑色発光を確認しており、量子井戸構造などの工夫により、AlGaInPの組成を変えることで、赤緑青の3色の発光を目指す。 ナノワイヤ太陽電池では、基板からのナノワイヤアレイの剥離技術にある程度目途が立ったことから、フレキシブル太陽電池の作製を試みる。基板から剥離したナノワイヤの両面に電極を付けることで、10%程度の発電効率をもつ太陽電池を目指す。剥離技術を用いることで、原料使用効率が3桁向上するなど元素利用効率の著しい向上が図れる。さらに基板の再利用が図れることで、最も微細な工程である選択成長マスクの作製が不要になり、低コスト化で実用化に目途がたつ。また、高効率化を達成するため、まずはGaAs(1.4eV)/InGaAs(1.1eV)の2層タンデム構造の作製と特性評価から始める。太陽電池特性のうち開放電圧(Voc)が、それぞれの部分の足し合わせになるなどタンデムの効果を明らかにする。 電子デバイス等の新展開では、シリコン上のナノワイヤFETの作製に (001)基板を導入する。結晶学的には(001)シリコン基板に55度傾いた方向にInAsナノワイヤが成長する。結晶成長条件を最適化するとともにデバイスプロセスを確立しトンネルFETを試作する。また、Geをベースとしたpチャンネル形成に向けて、III-VナノワイヤのGe(111)基板上へのトランジスタ作製技術の確立を図る。
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[Presentation] III-V Compound Semiconductor Nanowire Solar Cells2014
Author(s)
Takashi Fukui1, Eiji Nakai1, MuYi Chen1 and Katsuhiro Tomioka
Organizer
Topical Meetings on Optical Nanostructures and Advanced Materials for Photovoltaics (PV)
Place of Presentation
Australian National University, Canberra, Australia
Year and Date
2014-12-02 – 2014-12-04
Invited
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