2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23221008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、電流誘起スピンダイナミクスの解明と、磁壁や磁気渦の電流誘起スピンダイナミクスを利用した新規省エネルギーデバイスを作製し基本動作を確認することである。以下に、今年度に得られた成果を具体的に記述する。 (1)スピンホールトルクによる磁壁移動現象における低消費電力と熱安定性のトレードオフ(Appl. Phys. Express 7, 053003 (2014))電流によるスピンホールトルクによって磁壁移動が誘起される試料において、磁壁移動に必用な電流とデピニング磁場との相関を見いだし、低消費電力と熱安定性の間にトレードオフの関係があることを明らかにした。 (2)磁壁駆動メカニズムの膜厚依存性(Appl. Phys. Express 7, 053006 (2014))電流駆動磁壁移動現象のメカニズムとして、強磁性体を流れる電流によるスピントランスファートルクとスピンホール効果によって非磁性体から強磁性体に流れ込むスピン流によるトルクがあることがわかってきた。本研究では、この2つのメカニズムのどちらで磁壁が移動するかは強磁性体の厚さに依存することが明らかとなった。 (3)磁場と電流の同時印加による磁壁回転運動の誘起(Appl. Phys. Express 8, 023003 (2015))磁場と電流を同時に印加することによって磁壁回転運動を効率的に誘起できることを実験的に明らかとした。磁壁回転運動を利用したマイクロ波の発生が可能であることを示す結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、電流誘起スピンダイナミクスの解明と、磁壁や磁気渦の電流誘起スピンダイナミクスを利用した新規省エネルギーデバイスを作製し基本動作を確認することである。研究は順調に進んでおり、殆ど初期の目的を達成した。さらに当初の目標を超える研究として以下の成果が挙げられる。 (1)電流駆動磁壁デバイスにおける低消費電力と高い熱安定性の証明(Nat. Commun. 4:2011 doi: 10.1038/ncomms3011 (2013)) (2)内因性ピニングによって決まる閾電流密度以下での電流駆動磁壁移動の実証(Nature Nanotechnology 7, 635-639 (2012)) (3) スピンホール効果による電流駆動磁壁移動(Appl. Phys. Express 7, 033005 (2014); Appl. Phys. Express 6 (2013); Appl. Phys. Express 7, 053006 (2014)) (4)電界による磁壁移動速度の制御(Nat. Commun. 3:888 doi: 10.1038/ncomms1888 (2012)) (5)磁気コア運動に伴うスピン起電力の検出(Nat. Commun. 3:845 doi: 10.1038/ncomms1824 (2012))
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果の中で、スピンホール効果による電流駆動磁壁移動と電界による磁壁移動速度の制御は、当初研究計画では予期されなかった新たに見いだされた成果であり、今後大きな発展が見込まれる。スピンホール効果による磁壁移動は新たに見いだされた磁壁移動メカニズムであり、高効率磁壁移動の達成の可能性を持つ。電界効果の研究は超低消費電力化につながる可能性があり、今後、電界のみによる磁壁移動の実証を目指して研究を推進したい。
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[Presentation] 磁壁デバイスの展望2015
Author(s)
小野輝男
Organizer
第62回応用物理学会春季学術講演会
Place of Presentation
東海大学
Year and Date
2015-03-13 – 2015-03-13
Invited
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