2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23221010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石野 史敏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60159754)
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Keywords | 哺乳類特異的遺伝子群 / レトロトランスポゾン / 獲得遺伝子 / 哺乳類の個体発生 / 哺乳類の進化 / ドメスティケーション(イグザプテーション) / ゲノム進化 / 比較ゲノム科学 |
Research Abstract |
哺乳類特異的ゲノム機能の解析として推進した研究の今年度の成果は、有袋類特異的に存在するsirh遺伝子の発見である。これまでPeg10が有袋類と真獣類の両方に存在する以外、Peg11およびsirh3-11は真獣類に特異的に存在することを明らかにしてきたが、今回、有袋類のゲノム解析から、真獣類には存在せず有袋類にのみに存在するsirh12遺伝子を同定した。sirh遺伝子ファミリーは真獣類と有袋類において異なる組み合せで存在しており、この哺乳類の2グループの分岐進化にsirhファミリー遺伝子群が深く関与したことが示唆された。 sirh遺伝子のKOマウス作製を進めた。sirh4については単独のKOマウスの作製は終了した。このマウスには明確な表現型が見られていない。ほぼ同じタンパク質をコードするsirh5およびsirh6遺伝子が残っているためであると考えており、これらをさらに欠失したsirh4-6トリプルノックアウトマウスの作成に取りかかっている。sirh9KOマウスについては、ES細胞のスクリーングを行なっているが、相同組換え体が分離できないことから、異なるコンストラクトによるKOマウス作製を試みる事にした。Peg10 KOマウスの初期胚致死を回復できるレンチウィルスベクターの開発を行なった。これはレンチウィルスにPeg10 ORF1のみまたはPeg10 ORF1-2融合タンパク質のどちらかをコードするDNA断片を組み込んだもので、胞胚期に感染させることにより胎盤でのPeg10の発現を行なわせるものである。これまでのところORF1のみでは致死性の回復はみられていないため、ORF2部分が必須であると考えて実験を進めている。Peg11 PatKOマウスおよびMatKOマウスの示す、新生児致死の原因を解明するために新生児の呼吸、血液、肺や筋肉等の形態を解析したが、これまで明確な異常はみられていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
哺乳類特異的遺伝子群としてsirhファミリー遺伝子だけでなく、PNMAファミリー遺伝子に関しても真獣類と有袋類における解析を進め、この2群のファミリーが哺乳類の分岐に大きく関わる遺伝子群である事を示唆する結果を得た。ノックアウトマウスによる機能解析は、sirh4-6のトリプルノックアウトを作るのに時間がかかるのは当初より計算済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
sirh9KOに関してはESのスクリーニング系から再度やり直す必要がある。これに関しては新しいコンストラクトを準備した。Peg11PatKOおよびMatKOの新生児致死の原因解明のため、新生児における異常を解析しているが、これまで報告して来たように胎盤での機能不全は明らかである。そのため新生児致死における胎盤機能の関与という面から再度見直す必要があるかもしれない。
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Research Products
(28 results)