2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23221010
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石野 史敏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60159754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石野 知子(金児知子) 東海大学, 健康科学部, 教授 (20221757)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 哺乳類ゲノム機能進化 / 獲得遺伝子 / LTRレトロトランスポゾン / 胎生(胎盤) / 脳機能 / ゲノムインプリンティング / リプログラミング / 能動的脱メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
LTRレトロトランスポゾン由来の獲得遺伝子の機能解析として、Sirh7/Ldoc1遺伝子が胎盤の各種細胞の分化・成熟に必須の機能をもつこと、この遺伝子のノックアウトは胎盤が産生するホルモン調節の異常により、出産遅延・離乳率の低下が起きることから、哺乳類の生殖機能にとって必須の機能を果たしていることを明らかにした。またげっ歯類の胎盤でプロゲステロン(P4)産生が起きることを初めて実証することに成功し、内分泌学分野で40年以上に渡る議論に決着をつけた。Sirh11/Zcchc16のノックアウトでは新規性等に対応する行動の異常が観察され、脳内モノアミンの調節異常をつきとめた。これはLTRレトロトランスポゾン由来の獲得遺伝子が脳機能の進化にも関係していることを示す重要な知見である。Peg11/Rtl1の胎盤における異常はすでに報告したが、胎児側におきる異常についても新たな知見を得た。これによりもっとも重篤なゲノムインプリンティング疾患の1つであるヒト染色体14番2倍体症候群の病態の主原因がPEG11/RTL1の過剰にあることを実証できた。さらに治療法の開発を現在は検討している。マウス雌性単為発生胚および雄性発生胚から半数体ES細胞の樹立とその安定培養条件を確立した。2011年に樹立の報告はあったものの、すぐに2倍体化してしまうことから実用が難しかったが、細胞周期においてG2からM期への移行を促進する薬剤の添加により、それを可能にした。これにより、スクリーニングへの応用などの哺乳類におけるフォワードジェネティクスを展開する基盤が構築できたため、これからの哺乳類における研究を一層進めることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上の成果をあげたものととして以下の3つがあげられる。1)Sirh7/Ldoc1の機能解析ではげっ歯類の胎盤がP4を産生することを、P4測定法自体の開発から行って証明した。これによって、内分泌学上、論争が続いていたこの問題に明確な決着をつけたのみならず、他の真獣類種における同様の問題の解決の道筋を作った。これにより哺乳類における胎盤におけるP4産生の普遍性が証明される可能性が高い。2)哺乳類における半数体細胞株の安定培養条件の確立は、これまでリバースジェネティックスに偏っていた哺乳類の遺伝学に、フォワードジェネティクスを導入できる基盤を作ったものである。3)ヒト染色体14番2倍体症候群の病態をPEG11/RTL1の機能からほぼ説明できる事を明らかにし、疾患治療法の目処をつけたこと。一方で、Sirh4-6の解析についてはノックアウトマウスの作製は完了したが、まだ明確な表現型を同定できていない。Peg10については胎児側でも重要な機能をもつ可能性などが明らかになっているが、肝心の胎盤における生化学的機能の実態について満足の得られる結論を得ていないなど、まだ、未終了の部分がある。
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Strategy for Future Research Activity |
SirhシリーズのノックアウトマウスはPeg10、Peg11/Rtl1以外は致死性とは結びついておらず、表現型を見いだすことが容易ではない。そのため、遺伝子の発現部位の集中的な遺伝子発現および構造異常などの解析を行っている。その中で、脳で発現しているSirh11/Zcchc16やSirh3/Ldoc1lなどに行動異常を検出するなど、着実に成果はあがっている。今度も、同様に、根気づよく解析を進めて行くことが必要であると考えている。Peg10に関しては、欠失胎盤形成ができなくなる原因を胎盤発生のもととなるectoplacental coneを構成する細胞で1細胞レベルでの遺伝子解析を行うことで、その実態に迫ることができると考えている。
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Research Products
(28 results)
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[Journal Article] Understanding the X chromosome inactivation cycle in mice: A comprehensive view provided by nuclear transfer.2014
Author(s)
Oikawa, M., Inoue, K., Shiura, H., Matoba, S., Kamimura, S., Hirose, M., Mekada, K., Yoshiki, A., Tanaka, S., Abe, K., Ishino, F. and Ogura, A.
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Journal Title
Epigenetics
Volume: 9
Pages: 1-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Establishment of paternal genomic imprinting in mouse prospermatogonia analyzed by nuclear transfer.2014
Author(s)
Kamimura, S., Hatanaka, Y., Hirasawa, R., Matsumoto, K., Oikawa, M., Lee, J., Matoba, S., Mizutani, E., Ogonuki, N., Inoue, K., Kohda, T., Ishino, F. and Ogura, A.
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Journal Title
Biological Reproduction
Volume: 91
Pages: 120
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Sirh7/Ldoc1 knockout mice exhibit placental P4 overproduction and delayed parturition.2014
Author(s)
Naruse M, Ono R, Irie M, Nakamura K, Furuse T, Hino T, Oda K, Kashimura M, Yamada I, Wakana S, Yokoyama M, Ishino F, Kaneko-Ishino T.
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Journal Title
Development
Volume: 141
Pages: 4763-4771
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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