2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23224003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 誉志雄 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10180027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
中西 賢次 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40322200)
澤野 嘉宏 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (40532635)
岸本 展 京都大学, 数理解析研究所, 講師 (90610072)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非線形発展方程式 / Strichartz評価式 / 非線形散乱理論 / 計算機支援証明法 / 精度保証付き数値計算 / 爆発解 / Orlicz-Morrey空間 / 初期値問題の適切性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は,以下の通りである.中西氏はGuo, Lee, Wangの三氏とともに,シュレディンガー方程式の解に対し,角度方向と動径方向で指数の異なるStrichartz評価式を研究した.さらに,それを空間3時限のZakharov方程式に応用することにより,小さな解は散乱することを示した.岸本氏は,1次元と2次元のトーラス上で非線形シュレディンガー方程式の初期値問題に対する解写像の滑らかさを精密に調べ,空間1次元と2次元ではそれぞれC^5級とC^3級にはならないことを証明した.この結果は,初期値問題の適切性と密接な関係があり興味深い.澤野氏は,Gala, Rafusa, Tanakaの3氏とともに,準地衡渦度方程式の初期値問題に対し,Orlicz-Morrey空間における解の一意性が得られるための十分条件を考察した.通常良く用いられる2乗可積分空間では,必ずしも渦度を適切に捉えることができるとは限らないため,Orlicz-Morrey空間での研究も重要となる.連携研究者の溝口氏は,Souplet氏とともに,放物型Keller-Segel系に対し爆発解の爆発点を調べた.堤は,Thirring-Weiss模型や中間ベクトルボソン模型として知られる,Dirac-Proca方程式系は,Proca場の質量が大きいときは,4つのフェルミ粒子が1点で相互作用するというFerimi理論で近似できることを示した.岡本,宮路の両氏は,水面波の運動に関連した3次元力学系に対し,計算機支援法を用いて,不安定周期解の存在を証明した.この力学系はほとんどすべての軌道が非有界になると予想されていたが,不安定周期解の存在によりそれが数学的に厳密に証明されたことになる.この結果は,精度保証付き数値計算の遂行が証明の鍵であり,本研究課題の目標の一つである数値計算による解析の成果と言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形波動・分散型方程式及びKeller-Segel系などの非線形放物型方程式に対する,非線形散乱理論や有限時間爆発を含む,解の時間大域的挙動の研究は順調に成果を上げることができた.また,平成23年度,24年度においては,流体力学の方程式に関する数値計算の研究が最初の計画よりも遅れていたため,平成25年度から連携研究者として,数値解析及び数値シミュレーションの専門家である,宮路智行氏と佐々木洋平氏を研究組織に加え,この方向の研究を強化した.(このことは,平成26年3月にまとめた研究進捗状況報告書にも書いた.)その結果本年度は,岡本,宮路両氏が精度保証付き数値計算による計算機支援解析を遂行し,水面波の運動に関連した3次元力学系に対し,大きな成果を挙げることができた.以上の観点から,本研究はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題はおおむね順調に進んでいるため,研究計画を大きく変更する必要はないと考えている.したがって,研究対象となる非線形波動・分散型方程式,非圧縮性Navier-Stokes方程式とそれに付随した流体力学方程式,Keller-Segel系などの非線形発展方程式に対し,非線形散乱理論,特異性の特徴付けを含む解の大域挙動の数学解析および数値計算による解析を,平成26年度同様引き続き遂行する.それとともに,平成27年度が最終年度となるため,本研究課題全体の成果を検証し整理する.そのために,研究代表者,研究分担者,連携研究者は,国内外の研究集会に出席して成果発表を行い,当該分野の専門家と意見交換を行う.また,研究代表者は,平成28年2月に京都大学で"Nonlinear Dispersive Equations and Related Topics"という研究集会を開き,国内外の専門家を集め意見交換を行う.
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Remarks |
webページは,研究分担者の岡本久氏と岸本展氏のホームページです.
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Research Products
(10 results)