2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23225001
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平尾 公彦 独立行政法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 機構長 (70093169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 貴夫 山梨大学, 燃料電池ナノ材料研究センター, 特任教授 (20312994)
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Keywords | 長距離補正(LC) / 密度汎関数法(DFT) / 非断熱相互作用計算 / 多配置DFT / スピン軌道相互作用 / 開殻TDDFT / Order-N化 / 電子伝達機構 |
Research Abstract |
本研究は、既存の分子軌道法を超える、Long-range corrected Density Functional Theory(LC-DFT)を確立し、世界をリードする理論化学・計算化学の基盤技術を構築することを目的としている。 我々が提唱するLC汎関数は既存の汎関数の問題点をすべて解決したものとして高い評価を得ており、多くの理論計算に使われている。本研究ではこれをさらに発展させ密度汎関数理論の決定版とする。 理論面での開発においては、高速な時間依存DFT(TDDFT)を開発し、励起状態の理論を確立すること、ポテンシャル曲面を高精度に記述する多参照LC-DFTを開発すること、相対論的効果を取り込むこと、スピン多重度、IR Raman振動スペクトル、NMRの化学シフトを記述する理論を開発すること、ダイナミクス理論に拡張することを目的とし、さらに大規模系にも適用できるLinear scalingなアルゴリズムを開発する。 23年度は下記の課題に取り組み、成果を得ることができた。 1.光化学反応理論の開発と統合 1-1.高速な時間依存DFT(TDDFT)にもとづく非断熱相互作用計算法の開発 1-2.多配置DFTの開発 1-3.スピン軌道相互作用を取り込んだ開殻TDDFTの開発 2.次世代スーパーコンピュータ「京」での利用に向けだDFT超高速計算アルゴリズムの開発 2-1.長距離補正DFT計算のOrder-N化アルゴリズムの開発 3.実験研究者との連携による電子伝達機構の解明 3-1.燃料電池の電子伝達機構の解明 3-2.紅色細菌の光合成における電子伝達機構の解明
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Koopmans定理成立の数値的実証。これまでのDFTでは取り扱えなかった弱い分子間相互作用、Vanderwaals力の記述に成功、スピン軌道相互作用を含むLC-DFTの開発
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は既に多くの理論計算に使用されているLC-DFTをさらに発展させ、密度汎関数理論の決定版を構築することにより、理論化学・計算化学の発展に資するものである。そのため、国内外および関連分野における先進的な研究動向の把握、有識者の知見を得ることが有用である。引き続き、学会参加等による研究動向把握、参画研究員の充実、招聘講演等による有識者の知見収集により、研究内容の充実を図る。
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Research Products
(7 results)