2011 Fiscal Year Annual Research Report
極微な領域規制に基づくメソ薄膜の形態発現と光応答系の創成
Project/Area Number |
23225003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
関 隆広 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40163084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 修作 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40362264)
竹岡 敬和 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20303084)
川月 喜弘 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60271201)
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Keywords | 高分子ブレンド / ブロック共重合体 / アゾベンゼン / 超微量塗布 / 表面リンクル |
Research Abstract |
1)微小領域規制に基づく形態発現と光応答高分子システムの構築 平成23年度にSIJテクノロジ製超微量インクジェット加工装置を購入し、その立ち上げを行った。アゾベンゼン液晶高分子を中心として、溶媒や濃度さらには基板の種類を変化させ微小液滴噴霧のための適切な条件を探索した。現在その条件設定は継続中である。 基礎データとして、今後研究に供するために新たなアゾベンゼンを持つブロック共重合体を合成し、相分離挙動を薄膜状態にて観測した。今回、室温にて結晶性のオクタデシル基を側鎖として有するブロックと液晶性アゾベンゼンのブロックからなるラメラ構造を有するジブロック共重合体を合成した。ラメラ周期は光反応により変化し、ある膜厚以下の薄膜状態では、このジブロック共重合体はラメラが垂直する配向をとることがわかった。この垂直ラメラ構造は適切な条件下偏光照射にて面内にある程度配向させうることもわかった。こうした配向状態は、AFM観測、紫外可視吸収スペクトル観測、斜入射X線散乱(GI-SAXS)測定等によって確認した。 2)光応答表面リンクル形成 膜厚5mm程度のシリコーンエラストマー基板を作製し、親水化処理したシリコンウエハー上に液晶性アゾベンゼン高分子を成膜しこれをシリコーンに転写することで表面膜を設けた。エラストマーを圧縮することでリンクルが形成されることを確認し、表面膜の膜厚を変えることによりリンクル周期が変化することも確認した。紫外光照射により、リンクル周期が減少するあるいは消滅することがわかり、光照射でアゾベンゼン薄膜の弾性率が大きく変化することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超微小塗布の操作は未経験であったためその条件づけには、予想以上の多くの時間を要した。しかし、高分子合成とその評価は順調に進んでいる。一方、リンクル形成においても、アゾベンゼンの異性化の効果が明確に認められ、新たな知見を得た。おおむね順調に進展していると自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)対象とする高分子物質が種々そろってきたので、超微小塗布関連の研究を平成24年度に本格的に着手する。同時に面積の広い薄膜の構造評価と光応答特性を評価し、微小塗布状態における特異性の把握に努める。 2)エラストマー上のリンクル形成に関しては、アゾベンゼン高分子薄膜の接着をより強固にする手法を探索する。さらに、リンクル周期をどれだけ小さくできるかも検討を進める。
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