Research Abstract |
マイクロ流体チップ内にマイクロ・ナノロボットを組み込み,これを非接触で操作することで,光合成細胞であるラン藻(Synechocystis sp.PCC 6803)の浸透圧変化に対するマルチパラメータ計測を高速かつ連続的に行い,ラン藻の浸透圧調整機構の仕組みを明らかにすることを目的とした.まず,独自の磁気駆動技術をベースに,ラン藻のマルチパラメータをオンチップで高速かつ連続的に計測するシステムの構想をまとめ,基本システムを構築した.次に,これを利用してラン藻の浸透圧変化による応答を,単一細胞レベルで直接観測し,機械刺激受容性チャネルの仕組みを解明するための培養細胞の準備を行った.また,ラン藻の粘弾性を測ることで,糖を形成する遺伝子や環境条件との関係を調べて評価するための培養細胞の基礎評価を行った. (1)微細加工技術・システム構築(新井) フェムト秒レーザ加工と,フォトリソグラフィを組み合わせ,三次元的にナノ構造体を実現するための加工システムを構築し,コンピュータ制御により三次元露光した.また,力計測プローブに変位縮小機構をマイクロ流体チップに組み込んで磁気駆動するシステムを考案し,従来と比べて精度を約10倍改善できた. (2)細胞計測・制御(新井,川原) 磁気駆動技術を利用し,細胞の粘弾性を計測するロボットシステムを制御し,高速ビジョンと組み合わせて位置決め特性を大幅に改善した. (3)環境計測・制御(新井,丸山) マイクロ流体チップの流体制御を行い,流れの安定化を行った.また,光ピンセットを利用してラン藻を流路内で計測位置に固定するシステムの設計を行った. (4)細胞計測・評価・機能解析(魚住) ラン藻Synechocystis sp.PCC 6803を,200mM NaCl培地で増殖させることで,細胞表層を固くすることが可能であることを顕微鏡観察と細胞表層染色で確認した.
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