2011 Fiscal Year Annual Research Report
非線形誘電率顕微鏡の高機能化及び電子デバイスへの応用
Project/Area Number |
23226008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長 康雄 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40179966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平永 良臣 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70436161)
山末 耕平 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70467455)
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Keywords | 走査型非線形誘電率顕微鏡 / 原子双極子モーメント / 強誘電体記録 / 半導体原子計測 / 半導体デバイス計測 |
Research Abstract |
まず,最も共通的な基盤となる技術の確立として,SNDMの更なる分解能の向上やS/N比の向上を達成した.具体的には探針直下の電界の非線形成分の4乗項以上の応答を計測できる高次非線形誘電率顕微鏡法を開発した.既に非線形の3乗の項までの高次項を計測する,高次非線形誘電率顕微鏡法は報告し,その有効性は確かめられているが非線形の次数が高まれば高まる程,SNDMの分解能が上がるため,今回は5乗の非線形まで非線形の次数を高めた超高次SNDMを開発すると共に,SNDMの動作周波数を4GHzまで高め高感度化を図った. 次に上記研究で得られた高分解能・高感度非接触SNDMを超高真空中で動作させ,Si(111)表面に吸着した原子(水素及び酸素)が発生するダイポールモーメントの同定等他の原子分解能顕微鏡法ではできないSNDMの特長を生かした計測法の確立を行った. 強誘電体記録の研究に於いては組成比を変えたPZT強誘電体薄膜をゾルゲル法を用いて作製し,再生時の出力信号の大きさがMPB組成で最大であることを見出した.次にTbit/inch2超の記録密度を現在まで達成しているのは,リニアスキャナー型のSNDM強誘電体記録再生装置であり,今回,回転ディスク型高速記録再生においてもTbit/inch2超級の超高密度記録をほぼ実現した. 最後に半導体素子の評価技術の研究に於いて,MONOS型及びFloating gate型フラッシュメモリの蓄積電荷の可視化やトランジスタ断面のドーパントプロファイル計測に成功した.このため①で開発した超高次・超高分解能SNDMを用いた.また超高次非線形誘電率顕微鏡法を用いると半導体計測に於いてはその不純物の濃度分解能が格段に上がることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
原子分解能SNDMの更なる分解能・適応範囲の拡大においては,水素吸着及び酸素吸着Si(111)7x7構造の可視化に成功し,ミクロな世界においても,対称性の変化即ち原子ダイポールモーメントの変化をSNDMで明確にとらえることに成功した. また半導体計測技術においては,MONOS型及びFloating gate型フラッシュメモリの蓄積電荷の可視化やトランジスタ断面のドーパントプロファイル計測に5乗の非線形まで非線形の次数を高めた超高次非線形誘電率顕微鏡法を開発する事に成功した.また超高次非線形誘電率顕微鏡法を用いると半導体計測に於いてはその不純物の濃度分解能が格段に上がることが確認された.
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Strategy for Future Research Activity |
①原子分解能SNDMの更なる分解能・適応範囲の拡大に於いては,まず,最も共通的な基盤となる技術の確立として,SNDMの更なる分解能の向上やS/N比の向上を達成する.その成果を,超高真空中で動作する非接触SNDM法高分解能・高感度化,更には大気中で動作する半導体計測用SNDMに適用する. 次に上記研究で得られた高分解能・高感度非接触SNDMを超高真空中で動作させ,現在までは主に半導体と一部絶縁体であった原子分解能でのSNDMの適用範囲を幅広い絶縁材料の原子種の同定ができるように拡張し,更に表面に吸着した原子が発生するダイポールモーメントの同定等他の顕微鏡法ではできないSNDMの特長を生かした計測法の確立を行う. ②超高密度強誘電体記録の発展に於いては,薄膜記録媒体の開発を更に進める.PZTを初めとする幾種類かの代表的な強誘電体薄膜を,ゾルゲル法を主体に作製し,以下の二つの観点から最適な薄膜記録媒体を選定する.一つは記録密度が単結晶媒体に対して同等かそれより高いという点であり,もう一つは再生時の出力信号の大きさが十分大きい事である.特に後者は,今後の高速再生特性の更なる向上に重要で高速再生の要となる技術的課題であり是非克服しなければならない.次に回転ディスク型高速記録再生においてTbit/inch2超級の超高密度記録を実現する. ③半導体計測技術に於いては,まず,MONOS型及びFloating gate型フラッシュメモリの蓄積電荷の可視化やトランジスタ断面のドーパントプロファイル計測では,次世代の超高微細設計ルールに従って作製されたデバイスにも十分に対応できるようにする.このため①で開発する超高分解能SNDMを用いる.また,超LSIの極微小な故障位置を同定する故障解析に対して,SNDMの分解能は十分であるので,故障解析に対応できる技術を開発する.
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Research Products
(24 results)