2013 Fiscal Year Annual Research Report
非線形誘電率顕微鏡の高機能化及び電子デバイスへの応用
Project/Area Number |
23226008
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長 康雄 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40179966)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平永 良臣 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70436161)
山末 耕平 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70467455)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 走査型非線形誘電率顕微鏡 / 原子双極子モーメント / 強誘電体記録 / 半導体原子計測 / 半導体デバイス計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
①原子分解能SNDMの更なる分解能・適応範囲の拡大 SNDMの更なる多機能化を達成した.具体的には前年度で開発が完了した2重徐振動付きでアトムトラッキング機構を完備したSNDMに双極子モーメントとその発生する電位を計測する新技術を開発した(SNDP).その成果を,応用し,吸着原子の作る双極子モーメントの観測や,グラフェン等の新規材料中のダングリングボンドや欠陥等を可視化する技術を確立した. ②超高密度強誘電体記録の発展 PZTを初めとする代表的な強誘電体薄膜を,ゾルゲル法やスパッタリング法を主体に作製し,再生時の出力信号の大きさが十分大きい組成を決めた.これは今後の高速再生特性の更なる向上に重要で高速再生の要となる技術である.次に回転ディスク型高速記録再生においてもTbit/inch2超級の超高密度記録を実現した. ③半導体計測技術 前年度までに開発を終えた超高次(非線形の7乗項まで検出できる)超高次SNDMを用いて濃度分解能の向上を図った.新規半導体素子としてSiCパワーMOSトランジスタを計測しその濃度分布計測や空乏層の可視化に成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高感度プローブの開発により特に半導体デバイスでは当初目標を大きく超えて最大で7次までの非線形成分までが得られただけでなく,例えば,これらから局所C-V特性を再構成する手法など,多数の超高次のデータセットをフルに活用して,材料ならびにデバイスの詳細な特性を抽出する一連の計測体系がこれまでに整備されたといえる.(この計測体系は更に発展していくと予想されている.)実際に,本計測体系を用いて,当初の目標を既に超えて,今まで詳細な計測が不可能であったSiCパワーデバイスのドーパント濃度分布の計測に成功し,Si系の半導体素子においても今までどんな手法を用いても計測不可能と言われていた極低濃度領域のドーパント分布の詳細な分布の可視化にも成功している. さらに,非線形誘電率測定を用いた新規な表面電位の定量的測定法(SNDP)を新規に発明した.本方法は,適用分野がKPFMと重なるが,表面双極子に由来する表面電位の純電気的測定が可能であるというユニークな特徴を持ち,従来KPFMによる測定が行われてきた分野への波及が期待される.また,本手法は当初UHV-NC-SNDMによる半導体表面観察に関して提案・適用されたものであるが,同様に種々の材料・デバイス評価への応用が容易に可能であると見込まれる.
|
Strategy for Future Research Activity |
SNDPを用いて,高分解能化の具体的適用について検討する.具体的にはグラフェン/SiC界面の観測を充実させ,移動度低下の原因を明らかにする. また,記録装置に関しては容量だけでなく書き込み・読み出し速度を検討する.このためハードディスク型記録再生装置を用いた実験を更に発展させる. 一般半導体応用に関しては従来手法ではできない新しい手法で何を解決するのかを明確する.高移動度SiO2/SiC界面を得るため,この界面を計測する.また実動作中でのキャリアの動き等を可視化する技術を開発し,更に設計通りにデバイスができているかどうかの確認ができる技術を開発する.
|
Research Products
(22 results)