2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23226013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
陣内 秀信 法政大学, デザイン工学部, 教授 (40134481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 毅 東京大学, 工学系研究科, 教授 (20168355)
高村 雅彦 法政大学, デザイン工学部, 教授 (80343614)
宮下 清栄 法政大学, デザイン工学部, 教授 (40139382)
出口 清孝 法政大学, デザイン工学部, 教授 (30172117)
石神 隆 法政大学, 人間環境学部, 教授 (30297999)
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Keywords | 水都 / 歴史 / 環境 / 類型 / 政策 / 文化的景観 / 都市再生 / 比較 |
Research Abstract |
国内外の水都に関する現地調査を実施した。まず、ヨーロッパに関し、2012年2月、陣内、石神を中心に3名で、イギリスのロンドン、ブリストル、バーミンガム、リバプール、アイルランドのダブリン等で産業革命以後つくられた運河、ドックの建設過程及び仕組み、その再生の状況に関し現地調査を行った。建設史に関する文献、古地図を収集し、関係組織を訪ね資料・情報を得た。陣内は5名の研究室メンバーで、8月に南イタリアのアマルフィ海岸の港町の現地調査を実施し、12月には現地専門家と交流の国際会議を行った。伊藤は2012年1月にイタリア・ヴェネト地方を総勢6名からなる調査隊を編成して、運河沿いの田園の集落、カステルフランコ等の中小都市、中心都市トレヴィーゾの調査を行う一方、フランスでミディ運河沿いの集落・都市・運河施設・農地・沼地の概要調査を行い、水都研究のベースになる各種資料を収集した。なお両調査の機会を利用して両国カウンターパートと国際会議を開催した。北アフリカに関し、出口はモロッコのアトラス山脈東南域にあるオアシスとクサールを2011年9月に調査し、夏期に極めて少ない水量を工夫しながらオアシスに灌漑し維持していること,オアシスの木々の日射遮蔽効果と水辺による温度低下効果等を明らかにした。アジアに関し、高村雅彦は2011年9月と2012年2月にタイのバンコクとアンパワーの現地調査を実施した。バンコクではチャオプラヤー沿いに多くの新たな建築がつくられ風景が変わりつつあること、またアンパワーでは水路沿いの建築をリノベーションし、歴史的な街並みを活かした観光化が成功していることを確認した。水都学の論理をアジアの水辺から築き上げるための作業となった。一方、日本国内では、東京の外壕の歴史とエコロジーからの視点からの研究を深め、古代から近代に至る形成のプロセス、その結果成立した空間の構造を明らかにした。東京西部の日野市において、用水路を中心とした水の郷がいかに成立したか、歴史とエコロジーの視点から研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の諸地域の現地調査を推進するという研究計画から見ると、初年度、開始が遅れ時間が不足していたものの、ヨーロッパに関してはイギリス、フランス、イタリア、アフリカ・イスラム圏ではモロッコ、アジアではタイ、国内では東京の外壕、日野、江東を中心とするいくつかの地域、及び東日本大震災で被災した三陸海岸の港町、漁師町について充実した現地調査を実施し、そのデータの分析もある程度行えた。大きな柱である国際的な研究交流では、イタリアのアマルフィ、フィレンツェ等で現地の専門家と研究集会を行う一方、ヴェネツィア建築大学の都市史の専門家、アメリカのバークレー校のアーバンデザインの専門家を東京に招き、最近の研究成果についての意義深い交流が実現した。研究成果の公表の場として、法政大学出版局よりシリーズ『水都学』を刊行することが決まり、9月に出版が予定される最初の巻に向けて着々と準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
国外では、イタリア、フランス、イギリス以外のヨーロッパ諸国、特にドイツ、ベルギー、オランダ等、そして北アメリカ、オーストラリア等の国々、アジアのタイ、中国以外の国々へ、さらに調査の対象を広げる必要がある。 平成23年度は、国際シンポジウムは実施できなかったので、24年度はアジアを中心にそれを是非実現し、水都研究の国際ネットワークづくりを推進したい。まだこの分野は、世界的に見ても、水都の歴史研究、あるいは歴史と環境を結ぶ視点をもつ研究者が少ないだけに、人材の発掘、交流を追求する必要がある。 様々な条件の違いのもとで形成されてきた世界の水都の類型化を行う方向を考えており、対象を広げて収集したデータを比較分析・考察する方法論上の有効な枠組みづくりに取り組んでいく。
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Research Products
(14 results)