2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23226014
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 要 九州工業大学, 工学研究院, 教授 (10324659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 隆 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20314049)
淡路 智 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10222770)
西嵜 照和 九州産業大学, 工学部, 准教授 (90261510)
MELE Paolo 広島大学, サステナブルデベロップメント実践研究センター, 特任講師 (70608504)
堀出 朋哉 九州工業大学, 工学研究院, 助教 (70638858)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薄膜 / ナノ組織制御 / 超伝導 / 磁束ピン止め / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ複合・ヘテロエピタキシャル薄膜技術を用いて、超伝導薄膜の臨界電流密度Jcを極限まで高める研究を進めてきた。その手法として理論シミュレーションに基づくナノ構造デザインと、ナノテクを駆使した薄膜へのナノ構造導入技術、およびTEMやSTM等による微細組織観察や超伝導秩序パラメータ測定、低温下大電流測定技術などを用いてきた。ナノ構造デザインにおいては、時間依存ギンツブルグ・ランダウ(TDGL)方程式とマックスウェル方程式を融合させた3次元TDGL計算コードを開発し、これに結晶欠陥などのピン止め点を任意に配置した3次元モデルで計算を実行し、予想されるJcを求めることが可能になってきた。計算の大規模化や高速化は今後の課題である。シミュレーション結果に基づき、実際のナノ構造を導入した超伝導薄膜のJcの理論モデリングを行い、実験値との良い一致を得ることもできた。結晶欠陥近傍のひずみ分布に関しては、DFT第一原理計算に基づく解析を行い新境地を開いた。この論文は2014年度の応用物理学会超伝導分科会の論文奨励賞を受賞した。薄膜へのナノ構造導入技術に関しては、特にナノロッド導入に関して大きく進展した。プロセス最適化により、ナノロッドの直径や平均間隔、およびその直線性・均一性の制御が格段に進歩し、現時点で液体窒素温度77Kにおいて世界最高のJcおよび不可逆磁場Birrがコンスタントに得られるようになった。この技術は専門の国際会議において高い評価を受けた。今後はこの技術と測定技術を進展させ、測定が大変難しい低温でのJc測定およびその極限解明に挑戦したい。微細組織観察においても最新のSTEMを用いた原子レベルでの構造解析やひずみ分布測定も可能となりつつあり、より精密なピン止め制御技術開発に繋がっていくと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元TDGLシミュレーション技術は超伝導材料の高Jc化においては全く新しいツールとして活用できる可能性が出てきた。拡散方程式やナビエストークス方程式など工学的に活用されている多くの計算コードがすでに存在するが、TDGL方程式は計算量が多く理学的な利用に限られていた。しかしながら近年の計算能力の向上によって、TDGL方程式が超伝導薄膜のナノ構造デザイン等々の工学に利用できる可能性がでてきた。研究代表者が2014年の国際会議で本研究に関する招待講演を行った際、参加していた米国アルゴンヌ国立研の研究者が自分たちもこの手法に興味があり同様の研究を進めたいと言ってきた。このように今後、この分野の競争が激しくなる可能性はあるが、今後も同分野において世界をリードする研究を進めていきたいと考えている。この場合、実際の薄膜中に存在する人工ピンとなりうる結晶欠陥の空間分布や界面における超伝導秩序の状態に関する知見が必要である。先の論文奨励賞の対象になった技術は界面近傍におけるミクロなひずみとともにマクロスケールのひずみも解析に取り入れており、今後、これらの情報を計算シミュレーション等に取り入れていくことが課題である。薄膜へのナノ複合ヘテロエピ構造作製技術は予定通りに大きく進展しており、他の材料系への展開も視野に入ってきている。微細組織観察や超伝導秩序パラメータ測定、および低温での大電流測定技術にも進展が見られており、現時点では計画通り順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は最終年度となるため、これまでの研究成果を踏まえてさらなる課題の追求とともに、現状における成果の集約と今後の展望について知見を得ることを目指したい。最適人工ピン構造の設計においては、現実に近い3次元TDGLシミュレーションを用いて大規模シミュレーションを実施し、目標の性能を達成できる最適ピン止め構造を明らかにする。REBCO薄膜へのナノ構造の導入技術に関しては、ナノロッドを用いることで現状で世界最高のJc性能を実現できている。他のナノ複合ヘテロエピ薄膜作製を含めた同手法に関する結晶性能機構に関する理解を深めるとともに、低温でのその極限性能を明らかにし、対破壊電流密度との比較検討を行う。STMやTEMでのピン構造の測定技術の向上、内部歪み分布評価、低温大電流測定に関しても実施していく予定である。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] High pinning performance of YBa2Cu3O7-x films added with Y2O3 nanoparticulate defects2015
Author(s)
Paolo Mele, Roger Guzman, Jaume Gazquez, Teresa Puig, Xavier Obradors, Shrikant Saini, Yutaka Yoshida, Masashi Mukaida, Ataru Ichinose, Kaname Matsumoto, Malik Idries Adam
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Journal Title
Superconductor Science and Technology
Volume: 28
Pages: 024002, -9
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Magnetic Field of BG-VG Transition Depending on the Nanorods Shape in BaHfO-Doped SmBa2Cu3Oy} Films2015
Author(s)
Tsuruta, A., Yoshida, Y., Ichino Y., Miura S., Ichinose, A., Matsumoto, K., Awaji, S.
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Journal Title
IEEE Transaction on Applied Superconductivity
Volume: 25
Pages: 6602904, -5
DOI
Peer Reviewed
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